美の女神ヴィーナスをモチーフにした高品質のエナメルロケットペンダントです。
優れた構図でヴィーナスが精緻に書き込まれており小さな絵画のような美しさを感じます。
ロケットはほどよく薄い作りでエレガントな仕上がりで
フレームには目を見張るような素晴らしい金細工が施されています。
エナメル細密画として大変クオリティの高い例外的な作品で
深い茶色を背景に白いエナメルで美の女神ヴィーナスが暗闇の中に浮き上がるように表現されています。
ヴィーナスは両手で豊かな黄金の髪に触れており、
体には白い衣がふわりと漂い、
ヴィーナスの聖獣である鳩とイルカも描き込まれています。
どこか象徴主義の画家ギュスターブモローの絵画のような神秘的な雰囲気が漂っていますが、
グランドームは弟子であるアルフレッド・ガルニエと共同でモローの絵画を元にしたエナメル細密画を14点制作しており
1889年のパリ万博で金賞を受賞しています。
オルセー美術館
ポール・グランドーム作
『レダ』
1895年
ギュスターヴ・モローに基づく作品で、銅の上に描かれたエナメル。
半透明と不透明のエナメルを使用し、金彩で仕上げられている。
エナメルで描かれた装飾部分や金彩が施されたブロンズで構成されており、
黒いベルベットで覆われた古い額縁に収められている。
高さ:37.2 cm、幅:29.1 cm
エナメル細密画は素晴らしい金細工のフレームにセットされています。
この渦巻き状の特徴のあるフレームは同年代に活躍していた金細工を得意としたジュエラーである
Eugène Fontenay作でしょう。
類似作品
エトルスカン リバイバル ペンダント
製作者: おそらくEugène Fontenay(フランス、1823–1887)
制作年代: 19世紀中期から後期
文化: フランス
素材: 金、エナメル、ダイヤモンド
寸法: 全体(確認済み):2 3/16 × 1 1/4 × 7/16インチ(5.5 × 3.1 × 1.1 cm)
分類: 金細工(ゴールドおよびプラチナ)、ジュエリー
メトロポリタン美術館
ポールグランドームのサインが記されています。
裏面はロケットになっており写真などを入れることが出来るようになっています。
とても良い作りです。
チェーンは撮影用のもので付属しておりません。
実物は写真の数倍細かく美しいエナメル細密画です。
ポール・グランドム(Paul Victor Grandhomme)は1851年7月23日にパリで生まれ、
1944年にサン=ブリアック=シュル=メールで亡くなったフランスのエナメル画家、金細工師、メダル彫刻家。
彼はオーギュスト・モラール(1836-1916)の弟子で、モラールは金細工師でありエナメル画家でもあった。
また、友人である画家ラファエル・コランからも強い影響を受けている。
ポール・グランドムはピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)や
ジュール=エリー・ドラニエ(1828-1891)とともに制作活動を行った。
1874年にはフランス芸術家展(Salon des Artistes Français)で、
エナメル画の肖像画『ヴィットーリア・コロンナ』(1490-1547)を発表。
1877年にはアルフレッド・ジャン・ガルニエを弟子に取り、彼とパートナーシップを組む。
二人は共同で作品を制作し、
1890年にはサロンでカルロ・クリヴェッリを模した『聖母像』やエドワード7世の肖像画を発表。
さらに1895年にはギュスターヴ・モローに基づく作品
『ヘラクレス』『オルフェウス』『若さと不死』『レダ』『サッポー』『エディプス』を発表した。
1900年頃、彼はサン=ブリアック=シュル=メールに「レ・ゼモー(Les Emaux)」と呼ばれる邸宅を建設。
この家で彼は息子ポール(メダル彫刻家)、娘ジュリー(木版画家)、その夫ジャック・ノザル(版画家)とともに暮らした。
1920年代には、多くの芸術家や訪問者を迎え入れ、
彫刻家アルメル・ボーフィルやロシア大公妃ヴィクトリア・メリタ、ルーマニアの女王などと交流した。
彼は非常に長寿であったが、晩年には失明してしまうという不運に見舞われた。
ポール・グランドムはサン=ブリアック=シュル=メールの墓地に埋葬されている。
墓には彫刻家エミール・アルメル=ボーフィル(1882-1952)と
その妻ザニック・アルメル=ボーフィル(旧姓スザンヌ・デュヴィヴィエ、1892-1978)による
青銅の小さな彫像が飾られていたが残念ながら盗難に遭っている。