メソポタミア アッカド 紀元前2350〜2200年 神への供物 黒色ステアタイトの円筒印章
紀元前2300年頃、メソポタミアのアッカド期に作られた円筒印章です。
黒く艶やかなステアタイト(滑石)には、神への供物を捧げる神官たちの行列が刻まれていると思われます。
印章の神官たちが身につけているスカート状の衣装は「カウナケス」と呼ばれ、羊毛の房で飾られたもの。
古代メソポタミアでは男女ともに用いましたが、足首まで届く丈の長いタイプは神官や高位の人物の装いでした。
この衣装表現からも、ここに描かれた場面が神聖な儀礼であることがうかがえます。
わずか約2cmほどの小さな円筒印章ですが彫りが深くはっきりしていて
神官の姿はどこか愛らしく素朴な温かみに満ちており
当時の人々の日々の安寧や感謝を神に捧げようとした信仰心が伝わってくるようです。
ステアタイトは柔らかな素材で全体的に丸みを帯びた滑らかな優しい摩耗が見られます。
デスクの片隅で古代の風を感じるオブジェとして、あるいは時代を超えた小さなお守りとして、
古代メソポタミアの息吹を、ぜひこの可愛いらしい小さな宝物から感じてみてください。
参考例
男性礼拝者立像 シュメール 紀元前2900〜2600年頃
メトロポリタン美術館
