幻の王国ミタンニ 紀元前1600〜1200年 動物を伴う礼拝 円筒印章
紀元前1600〜1200年頃、
北メソポタミアからシリアにかけて覇権を握った幻の王国ミタンニの希少な円筒印章(シリンダー・シール)です。
ミタンニはかつてエジプトと覇権を争う強国でありながら、
首都ワシュカンニの場所も自国の歴史書も未発見のため
その実態は多くの謎に包まれていますが、
彼らは印章美術において革命を起こし伝統にとらわれない自由で幾何学的な独自様式を確立しました。
円筒印章を手にとって見ただけでは何が彫ってあるかわかりませんが、
粘土に押すと素晴らしい彫りが絵巻物のように現れて目を奪われます。
画面は上下のラインで引き締まった構成になっており、
カモシカや山羊のような角のある動物と杖を持った人物が配置され、当時の自然崇拝や儀礼の様子を今に伝えています。
所々丸みを帯びた彫りがみられますが、
これはミタンニがかつてエジプトやヒッタイトと覇権を争った北メソポタミアの強国で
広い地域を支配し多くの手紙や物資をやり取りしていたので印章を大量生産する必要があり
ドリルを使って点と線で素早く絵柄を描く技法を取り入れたためです。
参考
円筒印章 ミタンニ 紀元前15世紀〜14世紀頃
メトロポリタン美術館
点と線で構成されたポップなデザインはどこか現代アートのような美しさや可愛らしさがあり、
数千年の時を感じさせない魅力がありますね。
ミタンニでは一般的に使用される円筒印章は上の例のようにドリルを用いたシンプルなものが多かったことがわかっていますが、
今回ご紹介しているミタンニの円筒印章は時間をかけて作られ、優れた彫りが見られる特別な作品になります。
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金の輪がついていますので、革紐などに通して個性的なペンダントとしても楽しむことができます。
素材は古くから魔除けの石として知られる硬質なジャスパーが使用されており
深い緑色が美しく手に持つとひんやりとしています、
画像では分かりにくいですが石の艶は美しく保たれています。
ぜひ動画もご覧になってください。