Rene Lalique 象徴主義 女性の二面性 ルネラリック クラバットピン
ルネラリックのサインドピースのクラバットピンです。
燃え上がる炎のような形のフレームの中に
髪をシニョンに結い上げた二人の女性の顔の彫金が施されています。
一人は横顔、もう一人は斜めに顔を覗かせています。
立体感と厚みがあり、表情の表現がとても繊細に仕上がっていると思います。
なぜ二人の女性が表現されているのかですが、
ラリックが活躍した時代、サンボリズム(象徴主義)において
女性の二面性を表すことは非常に重要なテーマの一つでした。
サンボリズムは、19世紀後半から20世紀初頭にかけての文学や美術の運動であり、
具体的な現実の背後にある精神的・神秘的な意味や感情を象徴的な表現で表すことを重視していました。
純潔の象徴の百合と虚栄を表す孔雀の羽
特に、女性の二面性は象徴主義においてしばしば「神聖」や「純潔」を表す側面と、
「誘惑」や「破壊」を象徴する側面の対立として描かれることが多く、
たとえば、聖母やヴィーナスのような母性や愛の象徴と、
リリスやサロメのような、誘惑、または破壊的な存在としての女性像が対比されることがありました。
このような二面性はサンボリズムの芸術家や詩人にとって、
人間の内面的な葛藤や精神的な探求を表現する上で重要なテーマでした。
このような二面性を描くことで、女性という存在が単純ではなく、
多様な側面を持つ複雑な存在であることを強調し、観る者や読む者に深い感情や考察を引き出す役割を果たしました。
この二面性は、サンボリズム全体が持つ神秘的で多義的な性格とも一致しており、
非常に重要な要素となっています。
おそらく、このクラバットピンのデザインはそのような意味を込めた作品なのかもしれません。
ラリックのサインが入っています。
ルネラリック 類似作品