貴族同士の結婚の記念に作られた珍しいリングです。
二つの家の紋章を並べて彫りこんでいるリングは結婚の記念として作られたものなのですが、
更にこちらはロケットにもなっていますので大変珍しいリングになります。
蓋をあけると中にガラスの蓋が嵌められていて中に小さな物を入れられるようになっています。
貴族の紋章を調べる専門家がおりますので、
このリングに彫り込まれている紋章がそれぞれTERNISIEN d’OUVILLE家と
WIGNIER d’AVESNES家であることと大まかな家族の歴史が分かっています。
過去の歴史が分かっているのは面白いですね。
〜テニシアン・ドゥヴィル家とウィニエ・ダヴェーヌ家(1868年)〜
左がテニシアン家、右がウィニエ家の紋章になります。
この指輪は結婚の記念に2つ作られて、一つは夫、もう一つは妻が持っていたものでしょう、
今回ご紹介するリングはサイズが大きいので夫が持っていた物だと思われます。
夫であるレイモン・アルベール・ド・テニシアン・ドゥヴィル伯爵は
1839年7月12日にセルジー=ビュルー城(ソンム県)で生まれ1925年に亡くなりました。
彼は、アンリ・レイモン・ド・テニシアン・ドゥヴィルと
アルフォンシーヌ・ド・テニシアン・ド・ボワヴィルの息子でした。
テニシアン家の紋章
テニシアン家のセルジー=ビュルー城(ソンム県)とテニシアンの紋章が刻まれた城の礼拝堂
レイモン・ド・テニシアン・ドゥヴィルは1868年6月30日にルーで
ヴィクトリーヌ・シャルロット・ウィニエ・ダヴェーヌ嬢と結婚しました。
ウィニエ家の紋章
カンテレーヌ城(ソンム県)にあるウィニエ・ダヴェーヌの紋章
彼女は1843年5月21日にカンテレーヌ城(ルー、ソンム県)で生まれ
1893年1月10日に亡くなりました。
彼女は王の近衛騎兵であるジョセフ・ウィニエ・ダヴェーヌとマリー・ヴィクトリーヌ・ド・ルージュアの娘でした。
彼らには2人の子供がいました。
長男のジョセフ・アルベール・ド・テニシアン・ドゥヴィル(1874年 – 1946年)
彼は1903年にジャンヌ・デ・リヨン・ド・フーシャンと結婚し
ヨランデ・ド・テニシアン・ドゥヴィル(1904年生まれ)をもうけました。
ヨランデは1937年にアンリ・ド・フランスと結婚し、1999年に子供を持たずに亡くなりました。
長女のシャルロット・ド・テニシアン・ドゥヴィル(1875年 – 1897年)。
彼女は21歳で子供を持たずに亡くなりました。
アンティークには過去の持ち主を想像する楽しみがありますが、
人物や家系図、住んでいたお城まで分かるお品物は珍しいです。
セルジー=ビュルー城(ソンム県) 現在の状態
カンテレーヌ城(ソンム県) 現在の状態
大変しっかりした作りの美しい指輪です。
珍しいのはロケットになっているところです。
中には小さなものを入れられるようになっています。
紋章の彫りも緻密で美しいものになりますので、
ワックスの上に押して手紙に封などをしても楽しいアンティークです。