古代メソポタミアの楔形文字が刻まれた小さな粘土板です。

ふっくらした形で手のひらに乗る大きさで可愛いです。

数千年の時を超えて目の前に現れていること、

こうして手のひらに乗せて触れる事ができる事に感動しています。


古代メソポタミアの粘土板というだけで珍しいですが、

さらにこの粘土板にはとても面白い特徴が二つあり、

古代人の生活を想像する楽しみが更に広がる古代美術品です。






色が2色に分かれていますが、

左側が本来の色、右側の黒い色は土瀝青(どれきせい)です。

土瀝青は古より存在する天然のアスファルトのことです、

何らかの理由で染み込んだと思われます。


瀝青はノアの方舟に使われたり、

ミイラの保存に使われた記録が残っています。





もう一つの面白い点は、

よく見ると楔形文字の上に円筒印章を転がした跡が見える事です。





緑色の線で囲んだ部分になります。

円筒印章を転がした際に現れる横長の模様が見えます。




模様には椅子に座った人物と文字が刻まれています。

楔形文字の上から円筒印章を転がしているので

模様がはっきりしない部分がありますが、

赤で囲んだのが文字部分です、

ピンク色で囲んだのが人物部分です、

真ん中の人物は椅子に腰掛けているのを横から見ている構図になります。




参考例
紀元前2300年頃 メソポタミアの神々 アッカド 円筒印章 エンキ神 シャマシュ神 ブラッドジャスパー


円筒印章はいくつか扱ってきましたが、

こうして実際の生活で使われていたことが分かるのは感動します。


粘土板に記されている内容は分かりませんが、もし財産が記されているなら所有者の円筒印章だと思います、

楔形文字の粘土板自体珍しいですが、

更にいろいろな事を想像させてくれる楽しい古の美術品です。


通常は美術館などでガラス越しに見る品物ですが、

手にとってみる事ができるのは贅沢な楽しみだと思います。