紀元前2300年頃 メソポタミアの神々 アッカド 円筒印章 エンキ神 シャマシュ神 ブラッドジャスパー
古のメソポタミア神話の神々が彫り込まれたブラッドジャスパーの円筒印章をご紹介いたします。
紀元前2300年、今から約4300年前も昔に作られたものです、
粘土に転がしながら押すと細かな線で彫り込まれた古の神々が姿を表します。
シャマシュ神 エンキ神
この円筒印章に彫り込まれているのはメソポタミア神話に登場するシャマシュ神とエンキ神です。
シャマシュ神はバビロニアの太陽神、正義と裁判の神であり,
商人たちの守護神でもありました。
また卜占の神としても知られ、人々の生活に密接なかかわりをもった神でした。
古バビロニア時代を通じて鋸(のこぎり)を手に持つ神として描かれますが、
その後は太陽を象徴する円盤が同神のシンボルとして用いられたようです。
エンキ神はシュメールの淡水神で同時に知恵、魔法、呪文、芸術、工芸と深い結びつきがありました。
アッカド神話ではエアと呼ばれています。
エンキは両肩からチグリス河とユーフラテス河が湧き出した姿で描かれ、
創造神話では、エンキが両河川を「煌めく水」で満たし、鯉などの魚を放し、葦を生い茂らせたとあります。
ソレイユでは西洋アンティークをメインに扱っていますので、
普段は古代ギリシャや古代ローマに登場する神々がモチーフに選ばれている作品をご紹介することが多いですが、
メソポタミア神話に登場する神々もまた奥深くて面白いので、
是非、いろいろ調べてみてください。
メソポタミア神話
このページの下記にはブリティッシュミュージアムに収蔵されている円筒印章の参考作品と
説明を和訳したものを掲載していますので、こちらもご覧になってください。
また、この円筒印章が作られた紀元前約2300年前は
古代メソポタミアのサルゴン王が生きていた時代、
サルゴン王は古代オリエント史上最も有名で重要な王であった為に、
王についての多くの物語や伝説が残っているといわれています。
古代の有名な王が生きていた時代に作られた貴重な円筒印章ですし、
彫りの美しさも含めて満足度の高いお品物だと思います。
〜 以下日本語訳 〜
緑色岩の円筒印章。
狩猟の神(正面向き)が弓矢(?)を肩に担ぎ、飾りふさのついた矢筒を背に負っている。
左手の山には小木があり、斧や槌鉾などで武装した翼のあるイシュタル(正面向き)が立っている。
また彼女は、おそらくナツメヤシの房と思われる灌木のようなものを持っており、太陽神の頭上にそれを掲げている。
鋸歯状の刃を持ち、光線を放つ太陽神シャマシュが、2つの四角い頂上を持つ山々の間から出現している。
その右に水神イアが立ち、片足を右手の山に置いている。
彼は右手を鷲、おそらく運命の石版を盗んだ怪物アンズーに向かって伸ばしている。
両足の間には雄牛が横たわり、肩からは水と魚が流れている。
彼の後ろには、右手を上げた二顔の従者イシムードが立っている。全員が複数の角を持つ神々の頭飾りをつけている。
男性像はひげを生やしており、イシムードは二重のひげを生やし、ひだ飾りのあるスカートをはいている。
エアとイシュタルの二人は花飾りのついたローブを着ており、
四番目の完全な像は縞模様のスカートを着ていて、コッドピースがあるか或いは前で束ねられている。
この神は、牛人間(クサリク)が身につけるような長い巻き毛を左側に垂らし、
イシュタルは同様の巻き毛を左右に二本ずつ垂らし、エアとシャマシュは髪を三重に束ねている。
山は印章の下部全体に横長の帯状に続いており、人物はこの帯の上に立っている。
枠内に2行の銘文があり、その下にライオンが右に向かって歩を進め、咆哮している。
円筒はやや凹んだ形をしている。