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古代ギリシャ 紀元前3世紀 (紀元前217年〜紀元前204年?) イシス&セラピス ダブルフェイス ハイキャラット ゴールド リング





イシス&セラピスがモチーフの古代ギリシャのゴールドリングです。



古代ローマのゴールドリングも希少ですが、

ゴールド製の古代ギリシャのリングは更に希少で、まず出てこないものです、

特に、このようなハイクオリティの作品は

美術館や博物館以外で見ることは本当に難しいお品物になります。



大変純度の高い金を使っており、

薄い金色の絹をふわりふわりと幾重にも重ねて固めたような、

金属の硬さを感じさせない優しい質感の金です、

(写真に撮影するのは大変難しく、この美しい金の質感や色はお伝えしきれておりません)

触れれば壊れそうな繊細なタッチで彫られたイシス&セラピス神が

黄金のベゼルに浮かびがる様子が神々しく、

何とも美しいです。








この指輪が作られたのは、アレクサンドロス大王亡き後、

プトレマイオス1世の統治下のアレクサンドリアが

エジプトの最後の王朝、プトレマイオス朝として栄えていた頃、、、







アレクサンドリアは一時期は人口が100万人を超え、

130メートルを超える大灯台や、

​あらゆる学問の70万冊を超える蔵書があったとされるアレクサンドリア図書館などがあり、

多くの学者たちが集まって議論を重ねる活気にあふれた大都市でした。





この都市にセラぺウムと呼ばれる大きな神殿があり、

そこに祀られていたのが、今回の指輪のモチーフになっているセラピスです。





セラピスはヘレニズム世界において、古代エジプト人の宗教と、

新しい古代ギリシャ人支配層の宗教の統一を図る為、

双方から崇拝されるようにと、試行錯誤しながら作られた守護神なのでした。





セラピス神がどのようにして生まれたのかというと、、、










冥界の王オシリスは死後の世界を司る神、ナイル川の氾濫や

月、王権と関連づけられる複雑な性格を持った神で

古代エジプト人には絶大な人気があり、、、









また、聖牛アピスも古代エジプトで最も崇拝されていた神聖な動物の一つでした

頭には太陽円盤と聖蛇ウエラウスが飾られています、



ある一定の条件をクリアした牛 ! は

母牛と共にアピス神殿に連れて行かれて大切にされ、

死後はミイラにされて宝石をちりばめた姿で

手厚く埋葬されていたようです(^-^)




古代エジプトで人気のあった冥界の王オシリスと聖牛アピスを合体させた神が

オシリス=アピス、オセラピスとして守護神になり、

発音上の理由で、ギリシャ人によってセラピスと呼ばれるようになったのです。











プトレマイオス4世  イシス&セラピス  テトラドラクマコイン


古代エジプト人は動物の姿をした神を崇めましたが、

古代ギリシャ人には、動物の神は受け入れられなかった為、

セラピスの姿は、冥界の王オシリス=冥界の王ハデスとして、

古代ギリシャ風の男性の姿に落ち着きます、









初期のセラピスの頭上には

オシリスが身につけていたアテフと呼ばれる冠が飾られていることがありますが、

目立ちにくかった為か、冥界の王ハデスが被っている死者の国のシンボル、

モディウスという大きな帽子へとより変化して行きます、








大きな帽子のモディウスは穀物を測ることができる為、

セラピス神に豊穣神としての性格がさらに強まったり、

この帽子が冥府へ通じていると言われていました。


セラピス神は様々な神の属性を持ち、

オシリスの冥府の力、聖牛アピスに関連する太陽の力、

死と再生という、人々が関心を寄せる力も司っており、

考え抜かれて作られたセラピスは古代ギリシャ世界にて重要な神になるのです。









古代ギリシャの最高神にも妻がいることもあり、

オシリス神の妻イシスもアフロディーテやデメテルと同一視されたりして

崇拝されていきます。

イシスは自然と美、魔術の女神です。








古代エジプト神話では重要な女神で

テト神に殺されたオシリスを復活させた為に、

オシリスがハデスのような冥界を司るの王になったのです。





Harpocrates 沈黙の神 ハルポクラテス 二コロインタリオリング


オシリスとイシスの息子ホルスは

古代エジプトにおける子供を意味するヒエログリフの

指に口を当てた姿で表されていましたので、

そこを古代ギリシャ人に誤解され

沈黙と秘密を司る神、ハルポクラテスとして崇められました、、、

また、影響を受けた古代ギリシャのクピドも

口に手を当てた姿で表されることがありました、、

などなど、関連する話は尽きません、、、。






ご説明をしたのはほんの一部の説ですし、セラピスには、他にも色々な見方があります、

セラピス神だけではなく、他の神々も含めて、古代ギリシャの神と古代エジプトの神らは、

互いの影響を受けながら人々に受け入れられていくのです。






古代ギリシャやセラピスの歴史をほんの少しお話しましたが、

古代ギリシャの歴史についても素晴らしい書籍が沢山ありますし、

今はインターネットで誰でも簡単に知りたい事を調べることができます、

自分で色々想像しながら本を読んだり、映画を見たり、

時には本来調べたかったことから外れて寄り道してみたり、、、

これらもアンティークジュエリーの夢、皆さんの楽しみの一部だと思いますので、

興味のある方は、是非、いろいろ楽しみながら調べてみてください(^-^)









粘土に押した画像を掲載しておりますが、

どうしても拡大されてしまう為に、実物の繊細な美しさが伝わりにくいと思います。

手彫りで綺麗に仕上げられています。






彫りが施されている部分もそうではない部分も

非常に滑らかで美しいです。









全体の形がとても綺麗な状態で残っていてくれました。

大変身につけやすいサイズであることも

嬉しいポイントです。






金の重みを感じるのに

柔らかな金のヴェイルをまとったような繊細さに驚きます、

指にはめて、美しい古代ギリシャの彫りを楽しむのは

豊かで贅沢な時間になることでしょう。


2千年以上も前に作られた夢のような指輪です、

遠いヘレニズムに想いを馳せて楽しんで頂きたい作品です。





参考に過去にパリで買い付けた古代ギリシャリングも少しご紹介いたします。




























金属の成分をより詳しく知りたい時に使っている道具もご紹介いたします(^-^)

Au : 89.43 %  (金) Ag : 9.11 % (銀)  Cu : 1.46 %(銅) = 99.98%

金の割合が約9割の大変純度の高い金が使われていることがわかります、

当時の最高品質のゴールドの指輪です。












大英博物館 

古代ギリシャ ゴールドリング 紀元前3世紀

イシス&セラピス ゴールド リング





年代もモチーフも、今回ご紹介をしているリングと同じものです、


古代ギリシャのゴールドの指輪において、

イシス&セラピスのモチーフもとても珍しいです、

類似作品を探しましたが、

大英博物館に所蔵されている類似作品の他には、

今のところ、ちょっと見つけられませんでした。



また、ダブルフェイスは彫り込むことが難しく、

石のインタリオでも、あまり見られませんが、

古代のゴールドリングでも希少です。



この指輪は、新しく生まれたセラピス神をいち早く取り入れたかった上流階級のオーダーか、

それともセラピス信仰を広める為に作られた指輪なのか、、、

どのような背景があったかを想像するのはとても楽しいことです。










プトレマイオス4世  イシス&セラピス  テトラドラクマコイン


こちらのコインのイシス&セラピスは、今回ご紹介しているリングと大変良く似た構図で、

恐らく、このリングのモデルとなったコインだと思われます。

顔の向きがコインは右側、リングが左側であるのは、

恐らく、リングを押した時のことを考えてでしょう。







プトレマイオス4世



また、推測ですが、このコインにより、

このリングが作られた年代がほぼ特定できることはとても面白いと思います。


オシリスとイシスが二人で並んだテトラドラクマのコインは

プトレマイオス4世 (紀元前224年 –紀元前 204年) がアンティオコス3世との

ラフィアの戦い(紀元前217年)で勝利したことを祝って

プトレマイオス4世によって作られたコインです。


このタイプのテトラドラクマコインは

プトレマイオス4世の死後は使われなくなりましたので、

恐らく、このコインが 紀元前217年〜紀元前204年 の間に

作られたであろうことが想像できるのです。








今回ご紹介をしている古代ギリシャのゴールドリングは本当に希少なお品物ですので、

この機会に、少し真贋についてもお話をさせて頂きたいと思います。




古代ギリシャのジュエラーはゴールドリングを作る時には

純度が大変高いゴールドを使い、高品質で高価なものを作りました、

このような指輪は通常は美術館、博物館以外では簡単には見られないものです。




古代ギリシャのゴールドの指輪は、運よく個人の収集家が所蔵しているものが多少ありますが、

収集家みながそのような指輪を持ちたいと夢みた結果、

19世紀から「ギリシャの指輪」を収集家に売るフェイクジュエラーが登場します。




古代ギリシャの技術と、フェイクジュエラーが古代ジュエリーの模造品を作る方法で、

分かりやすい簡単な方法がありますので、

古代ギリシャのリングの大まかな特徴とともに、

それをご説明したいと思います。




簡単にチェック出来るポイントが2つあります。



1 - 素材



古代ギリシャのジュエラーは、

指輪を主に、ブロンズ、シルバー、ゴールドで作りました、

また、一般的に、古代ギリシャ人はジュエリーにおいて、ゴールドを使ったジュエリーの場合は

純度の低い金は好まず、純度が高く、金の色は濃厚な黄色で、高品質で高価なものを作りました。



作られてから長い時間が経っている古代ギリシャのゴールドリングは,

条件によって、傷やシミ、磨耗の痕跡が見られるものもありますが、

ゴールドは、決して腐食、酸化することはなく、ほぼ滑らかな表面を保っています。






古代ギリシャのゴールドリング






反対にブロンズやシルバーなどは、酸素、水、塩、酸などの作用によって、

腐食、酸化の痕が見られる場合がとても多く

表面がザラザラ、ぼこぼこしています。







古代ギリシャ シルバー リング














古代ギリシャのブロンズリング 腐食が見られるもの








古代ギリシャのゴールドリングとブロンズリングの比較、

ゴールドリングが美しい状態を保っているのに比べて、

ブロンズは表面の質感やフチの状態に差が出ます。




2 - 技術



古代ギリシャ人はロストワックスを用いて指輪を作りました。

最も高価であるゴールドリングでハイクオリティのものは

ベゼルのモチーフはリングを型どった後に手作業で金属に刻み込みます、

インタリオやカメオの優れた彫刻師はゴールドジュエリーでも

その腕を発揮しました。




同じゴールドでも古代のコインの場合は大量生産ですので、

リングに比べると仕上がりに差が出ます。




ブロンズの指輪では、指輪のベゼルのモチーフをロウに刻み込んでから指輪の型としました、

その為、ブロンズの指輪ではモチーフは鋳造で作られており、

ゴールドに比べてずっと荒い仕上がりです。



シルバーの指輪では、鋳造後に金属に刻むか、安価に仕上げたい場合は

ブロンズと同じ方法で作ります。







左 鋳造で作られたブロンズリング

右 手彫りのベゼルのゴールドリング








左 鋳造で作られたブロンズリング

右 手彫りのベゼルのゴールドリング







左 鋳造で作られた、比較的状態の良いブロンズリング

右 手彫りのベゼルのゴールドリング





3 - よくある偽造 : 型の複製



フェイクジュエラーが好む簡単な方法として、

壊れていないブロンズやシルバーの古代ギリシャの指輪を使って

指輪の型を作り、その型の中に金属を流し込み、

古代ギリシャの指輪の模造品を作る方法があります。



古代ギリシャのブロンズリングは比較的見つけやすく、

状態の良いものが安価に手に入りますので、

フェイクジュエラーは古代ギリシャのリングに良く似た偽造品を簡単に作ることができます。



流し込む金属は古代のコインなどの金属を使います、

古代のコインも潰れていたり、質が悪ければ、とても安価に手に入るからです、

その為、模造品も古代の金属と同じような金属の成分となります。

(誤ってその時代に見合った合金を使っていない場合もあります。)



このような型の複製により作られた模造品を見分けるには、

以下の2つの点を確認することで見分けることが出来ます、



1つは、金属の表面を確認した時に、ブロンズやシルバー特有の腐食の痕が見られるのに、

素材がゴールド、又は、純度の低いゴールドである場合です。

この痕は、普通のゴールドの傷とは全く違いますので分かりやすいです。



参考に、腐食したブロンズを使ってゴールドの模造品を作るとこのようになります。






左 腐食したブロンズリング 

中 腐食したブロンズリングを使ってゴールドリングを作った場合 イメージ画像

右 古代ギリシャの本物のゴールドリング




この3つの指輪の表面を見ると、

右側の古代ギリシャのゴールドリングは表面が滑らかで良い状態を保っていますが、

ブロンズリングを使って作った模造リングは表面ブロンズ特有のボコボコした腐食が

そのままコピーされてしまいます。



素材と経年が一致せず、

コピーされた模造品は全体的に違和感を感じる仕上がりとなり、

これは古代ジュエリーの真贋を見極める方法の中でも

分かりやすい方法です。




2つは、 例えモチーフが月日が経つにつれて磨耗していたとしても、

顕微鏡やルーペで確認すれば手彫りと鋳造のモチーフの違いは、

深さのある部分ほどはっきりと分かります、

鋳造品の見た目はゴールドのクオリティの高いものに比べてキメが粗いのです。

ただ、これは本物の古代ギリシャのゴールドリングを見たことがないと

荒い、ということがどれくらい荒さであるのかは分からないかもしれません、







左 腐食したブロンズリング 

中 腐食したブロンズリングを使ってゴールドリングを作った場合 イメージ画像

右 古代ギリシャの本物のゴールドリング




真贋の見分け方で、簡単に理解できるものをご紹介いたしました。


勿論、中にはもっと見分けるのが難しい偽造品もありますので、

実際に自分自身で古代のジュエリーを手にして注意深く観察を続けた経験がとても大切になり、

古代の宝飾品やゴールドに関する知識を身につけて初めて、

それらの偽物と本物を自分自身で見分けることが出来るようになります。





また、このイシス&セラピスのリングは

リチャード・ヴィーマイアーズ博士が執筆されているセラピスの本に掲載されます。


日々、古代世界の研究をされ、史学や考古学、芸術学の博士号を取得された専門家に、

少しでもご協力できるのはアンティークディーラーとしても嬉しいことです。


歴史の専門家がいるように、私もアンティークディーラーとしての専門である

真贋の見極めをより深く学んでいきたいと思っています。









リチャード・ヴィーマイアーズ博士

2018年9月に王立マリーモン博物館(ベルギー)で管理職に就任。
リエージュ大学で2008年に史学、芸術学、考古学で博士号を取得。
同大学の古典学部と歴史学部の双方で学士課程および修士課程の講義をした。

2008年から2011年にアテネ・フランス学院の科学会員、
2013年から2014年にパリ市のポスドク研究員、
2014年から2015年にオックスフォード大学コーパス・クリスティ・カレッジの客員、
2016年から2017年にロサンゼルスのゲッティ・スカラー、
2017年から2018年にライデン大学考古学部でマリー・スクウォドフスカ=キュリー研究員を務めた。

* 研究

学問の関心領域は視覚文化の機能および文化接触の過程における視覚文化の役割、古代社会における流動性と移動である。

過去10年間に渡り、古典世界におけるエジプトの神々の崇拝の拡散と受容という、古代の最も一般的で活発で重要な宗教現象のひとつを衝き動かしたあらゆる種類の物体に関する著作(ベルギーの王立アカデミーによって2009年に出版されたモノグラフ、2018年に出版されたブリル書店の叢書『ギリシア・ローマ世界における宗教』内の2冊の編集版を含む)や論文を著してきた。

この枠組みで、アウソニウスエディションから出版される3年毎の『イシス図書館』叢書をまとめている(第4巻は2019年)。またライデン大学で「イシス、像と作用。ヘレニズム世界・ローマ世界におけるエジプトの神々に関する宗教図像の創造、利用、受容」と題されるEUのプロジェクトを指揮した。
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国 名
古代ギリシャ
年 代
紀元前3世紀 (紀元前217年〜紀元前204年?)
素 材
22k
サイズ
1.1cm 14号より少し大きめ 8.5g
コンディション
素晴らしいコンディションです。

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