6世紀 ビザンチン シルバーリング MARIA THEOTOKOS
ビザンチン6世紀のシルバーリングです。
宝石を使ったジュエリーはうっとりするような美しい輝きやデザインが楽しめますが、
古の指輪の真の魅力とは、それとはまた違い、外側よりも内側に深く秘められているのです。
今から1500年前に作られたこの指輪が現代まで無事に残り、
その指輪がいつ頃作られた物で、どんな意味があるのか?を理解され、
再び人の指に嵌められていることは奇跡だと思いませんか?
例えば、現在も、土の中で眠り続けている他の古の指輪達は沢山あると思います、
その指輪達が何らかの機会に偶然に発見され、再び光を浴び、
人の指に嵌められ、価値を理解されるまでには、どれくらいの年月がかかるか、、、
もしかしたら、それは明日かもしれないし、100年後かもしれないのです。
中にはせっかく発見されても既にボロボロの状態のリングもあるでしょう、
ですから、こうして、1500年の時を超えて、無事に発見され、
価値を理解され、美しいコンディションを保っているのは
あらゆる偶然が重なった奇跡なのです。
本当の意味での宝物とは、このようなリングのことを言うと思います。
それだけで物語に出てくる指輪のようにドラマティックなものですが、
さらに、この指輪が作られた年代に思いを馳せてみるのも
貴方の想像力を生かさなければ味わえない、
贅沢で知的な楽しみなのです。
〜 ユスティアヌス帝 テオドラ皇后 ラヴェンナ・サン・ヴィターレ聖堂 モザイク画 〜
この指輪は6世紀のもの、、、
6世紀は東ローマ帝国の皇帝ユスニティアスの最盛期です。
ユスティニアス帝は、在位は40年程でしたが、その間に領土を押し広げ、
現代の大陸方の元ととなるローマ法を編纂するなど、古代において
最重要人物の一人で大帝とも呼ばれています。
彼の妻テオドラは元踊り子でありながら知性に溢れた才色兼備の女性で
ニカの乱(532年)では市民の反乱に恐れをなし逃げようとしてしまったユスティアヌスに
「逃げるくらいならば帝衣のまま死ぬ方が良い」と、勇気ある発言をし、
その言葉に鼓舞されたユスティアヌス帝は見事反乱を沈めました。
女傑です。
もし、この二人が6世紀に生きていなければ、歴史は変わっていたでしょうし、
他にも歴史に名が残っていなくても、歴史を変えた小さなヒーロー達もいたと思います。
今回ご紹介している指輪のベゼルには、神を表す十字と、
MAT( MARIA THEOTOKOS)が刻まれていますが、これは
イエスの母、聖母マリアを表しているのです。
おそらく、この指輪は司祭等の聖職者が身につけていたと思われる指輪です。
ユスティアヌス帝やテオドラ皇妃のように、この指輪の持ち主にも
ドラマティックな物語があったかもしれませんね。
それは、貴方の心の中で想像してみて欲しいなと思います。
シルバーの表面はとても優しい雰囲気で、すべすべと丸みを帯びており、
時を超えた金属でなければ出ない自然なパティナから味わい深さを感じます。
どのような理由で、オリジナルの持ち主の手を離れて、
ひっそりと人知れず地中に埋まっていたのでしょう、とてもドラマティックです。
特徴的な八角形のベゼルですが、角はすべすべとしており、
ソフトで、角ばって身につけにくいということはありません。
そっと手にとって当時に夢を馳せていたいリングです。