中世 写本 時祷書 マニュスクリプト
中世ヨーロッパの信徒が使用していた、
ラテン語による聖なる祈りの言葉が書かれた時祷書の1ページです。
通常、時祷書で本の状態で残っているものは大変高額です。
この時祷書の1ページは何らかの理由で本から外れ、
大切に保管されていたのか、大変美しい状態で残っています。
素材は一見、紙のように見えますが、これはベラム(羊皮紙)です。
当時の上等な写本には子牛、子羊の柔らかい革を薄くのばした物を使用しており高価な素材でした。
まだ現代の本に使われているような紙がなく活版印刷技術が発明されてい なかった頃、
12世紀以前の中世において写本は主に教会の僧達の重要な仕事でしたが、
12世紀以降は民間の工房が出始め、
羊皮紙職人、写字生、写本の装飾師、製本職人達によって制作されていました。
当時、字を読める人は大変限られており、
高価なベラムに書かれた大変貴重な本を 所有できるのは、
聖職者、王侯貴族、他の少数の人達のみで、
聖なる祈りの言葉がかかれた本はそれ自体が敬意を払って扱われていま した。
中世の写本はコンディションが悪い物が殆どですが、
この写本は奇跡的に大変美しいコンディションを保っています。
1文字1文字丁寧にミスなく書き込まれた文字や絵から
清らかで研ぎ澄まされた集中力を感じます。
言葉の始まりは飾り文字で強調され、
右端には奇妙な動物を象ったグロテスク文様、
そして赤と青で表現されたアカンサスが繊細に描かれています。
1文字1文字から研ぎ澄まされた力を感じます。
グロテスク文様。
額に入れれば、希少な美しい壁掛けとして
楽しむことができます。