オンファレ 16世紀 カメオ リング
ルネサンス期の貴重なカメオです。ルネサンスはイタリアで花開いた古代ギリシャ、ローマ時代の古典芸術への復興運動の事で、西洋美術史の中で大きなムーブメントが起こった重要な時代です。
このカメオと同年代の同様の作品が、イギリスのエリザベス女王のコレクションにおさめられています。 「Ancient and modern Gems and Jewels in the collection of Her Majesty the Queen」という本の作品ナンバー131の若い女性のカメオ、134のアマゾネスのカメオ、136の女性のカメオが特に類似しています。16世紀の古い カメオなので、例え女王のコレクションであってもやや欠けていたり、壊れているカメオも普通に掲載されています。
アンティークジュエリーを知る上でカメオ作品は避けては通れない分野ですが、ヨーロッパでも一般的に市場に出て来るカメオは殆どが19世紀の作品が多く、 ルネサンス期のカメオなどは本当に稀で滅多に見ることは出来ないでしょう、このような特別に古いカメオはショーウィンドウに並ぶことはなく、市場に姿を現 す前にカメオのコレクターや美術館へ紹介される事が殆どだからです。
このカメオのモチーフは神話の英雄ヘラクレスの妻オンファレです。絶妙なピンクがかった色合いのアゲートに彫られた素晴らしい作品です。
オンファレはヘラクレスの妻として、ヘラクレスが退治したネメアのライオンの皮を被った姿やヘラクレスの武器の棍棒のアートリビュートと共に表現されます。
ルネサンスのカメオ作品はジュエリーとしてのみではなく、小箱やキャビネなどの装飾品としてはめ込まれて使われていました。このカメオもおそらくジュエリーではなく装飾品として作られたカメオの一つでしょう。
装飾品を前提として作られていないので、作者の感性をより自然に感じて頂けると思います。
ペンダントやブローチとして使う為のフレームを作れば、もちろん美しく貴重なカメオジュエリーとしてお使い頂けます。
胸元。
斜め横。
このカメオは首もとにやや目立つヒビがありましたが、カメオの職人の技術によってほとんど目立たないくらいに修復されています。
ルネサンスの作品なので多少のダメージは気にせず、作品の芸術性により注目して頂きたいと思います。作品のコンディションのあり方のついては、またアンティークレッスンで詳しくお話したいと思います。
斜め横。
側面。
ジュエリー加工イメージ図。