フランス 1950年〜1960年頃 ホワイトローズ ダイヤモンド クリップ ブローチ
まるで本物の薔薇を鋏で摘み取ってきたかのような素晴らしい立体感に溢れる魅力的なブローチです。
花びらは一枚ごとに角度を変えて重なり合い内側へ包み込むように、あるいは外側へ開くように表情豊かに広がります。
その一枚一枚に大小のダイヤモンドが敷き詰められています。
ホワイトゴールドの細い縁取りが花弁の輪郭をやわらかく引き立て見る角度によって光と陰が移ろいます。
花の頂にはペアシェイプ・ダイヤモンドが留められ、
ふくらんだ花芯からほころび始めた蕾のように伸び上がって輝きます。
茎はゆるやかな弧を描きそのカーブに合わせてバゲットカットダイヤモンドを一列に丁寧に隙間なく配しています。
左右にはマーキースカットダイヤモンドを二枚ずつ爪留めにした葉を添え、花の付け根には鋭い棘まで再現されています。
約4.6cmと日常にも取り入れやすいサイズながら、ひとたび胸元に着ければ装いをぱっと華やかに彩ります。
全体がゆるやかに反った作りで真横から見ても美しいシルエットを描き平面的なブローチにはない奥行きを楽しめます。
裏面は石座を六角形に透かした蜂の巣のようなセッティングです。
石の裏側まで光を取り込む繊細なつくりに見えない部分まで手を抜かない手仕事の質の高さが表れています。
留め具は安全装置付きのダブルピン仕様でしっかりと固定できます。
白一色の輝きと多彩なカットの組み合わせに1950〜60年代のハイジュエリーの気品が息づく一点です。



作家コレットの随筆に、画家ラウル・デュフィが水彩を添えた『Pour un herbier(植物図譜のために)』は1951年に豪華版が刊行されました。
軽やかな筆で描かれたその薔薇と同じ時代に生まれたこのブローチ。
紙の上と宝石の中で咲いた二つの薔薇が1950年代パリの華やぎを今に伝えます。