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1470年〜1480年 竜を退治する聖ゲオルギウス ブルゴーニュ アゲート カメオ

1470年〜1480年  竜を退治する聖ゲオルギウス ブルゴーニュ アゲート カメオ



非常に希少な中世のカメオです。

半透明のカルセドニーと赤色のジャスパーからなる二色のアゲートに彫刻されています。

主題は聖ゲオルギウスが竜を退治する伝説です。

おそらく1470〜1480年頃、ブルゴーニュ国家で制作されたものと考えられます。

15世紀後半、聖ゲオルギウスはブルゴーニュ宮廷において重要な意味を持つ存在でした。

善良公フィリップとシャルル突進公のもと、

ブルゴーニュ宮廷はヨーロッパの騎士文化を牽引する華やかな中心地でした。

そのなかで竜を退治する聖ゲオルギウスは騎士の理想を体現するとともに、

キリスト教への信仰、ブルゴーニュ公の権威、そして軍事的勝利を象徴する存在として大変重んじられていました。












《聖ゲオルギウスと竜》
南ドイツ、シュヴァーベン地方
1460〜1470年頃
シナノキ(リンデン)材、彩色、鍍金
全体:高さ82.4 × 幅34 × 奥行22cm
槍を除く高さ:75cm
メトロポリタン美術館 中世美術・クロイスターズ部門所蔵
ジョージ・ブルーメンタール寄贈、1941年





《竜を退治する聖ゲオルギウス》
作者不詳
オーストリア、1480〜1490年頃
木彫、彩色
丸彫彫刻
パリ市立プティ・パレ美術館所蔵



1.騎士道の理想を体現する存在

聖ゲオルギウスは騎士と戦士の守護聖人です。

武勇の徳とキリスト教の擁護を自らの権威の基盤としていたブルゴーニュ公たちにとって

特に善良公フィリップが十字軍を構想していたことを考えれば、

聖ゲオルギウスは悪を象徴する竜に勝利する理想的なキリスト教君主の原型でした。

ブルゴーニュ公国と金羊毛騎士団の正式な守護聖人は聖アンデレでしたが、

聖ゲオルギウスはブルゴーニュ公たちの個人的な勇敢さと軍事的支配者としての正統性を体現していました。







2.シャルル突進公の聖遺物容器(1467〜1471年)


ブルゴーニュ宮廷と聖ゲオルギウスとの関係を最も有名かつ壮麗なかたちで示す作品が、

《シャルル突進公の聖遺物容器》です。

現在はリエージュ大聖堂の宝物室に所蔵されています。


作品:

リールの金銀細工師ジェラール・ロイエによって、金、銀、エナメルを用いて制作された彫刻群です。

甲冑を身につけてひざまずくシャルル突進公の姿が表されています。

場面:

聖ゲオルギウスは公の背後に立ち、敬意のしるしとしてその兜を持ち上げ、彼を神に引き合わせています。

その足元には退治された竜がとぐろを巻いています。

政治的な意味:

反乱を起こしたリエージュの町が服従したのちに奉納されたこの奉納像は、

戦士聖人である聖ゲオルギウスの直接的な加護を受けるシャルル突進公の絶対的な支配力を誇示するものでした。






リーフェン・ファン・ラテム《聖ゲオルギウスに導かれるシャルル突進公》
『シャルル突進公の祈祷書』より
1471年頃 J・ポール・ゲティ美術館蔵



3.個人的な信仰と彩飾写本

ブルゴーニュ公たちが愛好したフランドルおよびブルゴーニュの写本彩飾において、

聖ゲオルギウスは個人を神へと取り次ぐ守護聖人としてたびたび登場します。

J・ポール・ゲティ美術館所蔵の『シャルル突進公の祈祷書』では、

祈りを捧げる公が聖ゲオルギウスに守られ神の御前へと導かれる姿が複数の細密画に描かれています。




《メヘレン旧石弓ギルドの団員たち》
1497年頃/メヘレン聖ゲオルギウス・ギルドの画家
アントワープ王立美術館(KMSKA)
フランドル共同体コレクション




4.都市のギルドと「宣誓兄弟団」の庇護

ブルゴーニュ領ネーデルラントの主要都市であるヘント、ブルージュ、ブリュッセル、リールなどでは、

ブルゴーニュ公たちは「聖ゲオルギウス宣誓兄弟団」と呼ばれる

軍事ギルドを庇護することによって地域の有力者たちとの結びつきを保っていました。





15世紀の石弓
ヴュルテンベルク伯ウルリヒ5世所用、1460年
ドイツ、おそらくシュトゥットガルト
メトロポリタン美術館蔵
※本作品とほぼ同時代に用いられた石弓の一例




これらの兄弟団は主として石弓兵や弓兵によって構成されていました。

ブルゴーニュ公たち自身も竜を退治する聖人に結びついたこれらの兄弟団の射撃競技や祝祭に参加し、

商業都市に対する自らの権威をさらに強固なものとしていたのです。





フランクフルトの画家《射手たちの祝祭》1493年
アントワープ王立美術館蔵



カメオの推定制作年代に近い1493年、

アントワープで描かれたフランクフルトの画家による《射手たちの祝祭》(アントワープ王立美術館蔵)には、

複数の射手団が集まり、競技や祝宴を楽しむ様子が生き生きと表されています。

同時代のブルゴーニュ領ネーデルラントにおいて、射手団が単なる軍事組織ではなく、

信仰と名誉、都市の共同体意識を結びつける重要な存在であったことを伝える貴重な作品です。






ニコラ・フロマン
《マテロン二連画―ルネ・ダンジューの肖像》
1475〜1480年頃
ルーヴル美術館蔵

アンジュー公ルネは帆立貝を連ねた聖ミカエル騎士団の頸飾りを着用し、

その中央には悪魔を打ち倒す聖ミカエルの徽章が下げられています。

本カメオとは表された聖人が異なりますが、

宗教的な戦士像を小型の装身具として胸元に掲げた本カメオとほぼ同時代の重要な着用例です。






宗教的図像を表した装身具の着用例
作者不詳(アンドレア・ソラーリの原作に基づく可能性)
《シャルル・ダンボワーズの肖像》
1508~1510年頃、ルーヴル美術館

この肖像のシャルル・ダンボワーズは

聖ミカエル騎士団の首飾りに加え、帽子にも聖ミカエルが悪魔と戦う小型の徽章を着けています。

聖ミカエルと聖ゲオルギウスは異なる存在ですが、ともに悪を打ち倒す守護者として表されました。

本カメオの直接的な着用例ではないものの、

こうした宗教的図像が小型の装身具として身に着けられていたことを示す資料です。





本品の来歴を直接示す記録は残されていませんが、

この小さなカメオは聖ゲオルギウスを守護聖人とする石弓射手ギルドの裕福な団員が、

守護聖人への信仰と団員としての誇りを示すために身につけたもの、

あるいはその家族が団員の無事を願って贈った護符的な装身具であった可能性なども考えられます。

15世紀後半のブルゴーニュ世界に生きた人々の騎士道精神と祈りを今に伝えるような作品です。


 
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1470年〜1480年 竜を退治する聖ゲオルギウス ブルゴーニュ アゲート カメオ

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国 名
ブルゴーニュ
年 代
1470年〜1480年
素 材
アゲート
サイズ
カメオのサイズ(金製フレームを含む):28 × 23 mm
コンディション
素晴らしいコンディションです。

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