15世紀中期 聖像 イコノグラフィック シルバー リング

大変希少なイコノグラフィックのシルバーリングです。
中央の突起で仕切られた2つのパネルからなるダブルベゼルが特徴で
パネルには宗教的な人物が彫られており、一方は聖カタリナ(王冠を被っている)、
もう一方は塔を持つ聖バルバラ、あるいは香油瓶を持つ聖マグダラのマリアと思われます。
リングの下部にはねじれたようなモチーフが刻まれ、ショルダーの部分は3本の溝と切り込みで装飾されています。
元々は全体に金メッキが施されていたと考えられますが現在は消失しています。
分厚くボリュームがあり美しい作りをしており、
このタイプの指輪で明らかに男性用といえる大きなサイズのものは非常に珍しい例です。
これらは宗教的、かつ魔除け(予防的)な目的を持ち、
描かれた聖人の加護を着用者に与えるものと信じられていました。




このようなイコノグラフィックリング中世末期の聖像崇拝の証しであり、
特に人気のあった聖人には、
バルバラ、クリストフォロス、ゲオルギウス、洗礼者ヨハネ、マルガリタ、そして聖母子などが含まれます。
典型的には英国製なのですがフランス西部でも見られます。
金、銀、あるいは銀に金メッキを施した素材で作られました。
ロンドンの金細工職人が多く製造していましたが、ノリッジ、ヨーク、エディンバラなどの都市も主要な拠点でした。
14世紀半ばに登場し、イングランドの宗教改革が始まる16世紀初頭まで存続しました。
本来はエナメル(七宝)が施されていた可能性が高く内側に碑文が刻まれている例もあります。
当時のこの種の指輪は小ぶりなものが多いのですが、
リングサイズ62-63(21号以上)という大きさは、
大人の男性が着用していたことを示す非常に珍しい例です。
ベゼルが2つに分かれているのは、複数の聖人の守護を同時に得るためのデザインです。
単なるジュエリーではなく、身を守るための「お守り」としての意味が非常に強いアイテムです。