メソポタミア アッカド 紀元前2350〜2200年 円筒印章 闘争図 牡牛人間の戦い と「ILU」の文字
メソポタミア アッカド 紀元前2350〜2200年の美しい円筒印章です。
アッカド期の特徴的なモチーフである闘争図の円筒印章で
上半身が人間、下半身が牡牛の特徴を持つ牡牛人間クサリクが動物や他の存在と格闘しています。
アッカドの闘争図によく見られる登場人物には
髭を生やした裸の英雄(ギルガメシュとされることもある)や牡牛人間などが含まれ、
ライオンや水牛といった強力な動物と格闘している様子が彫り込まれています。
この円筒印章にはフィールド内にカルトゥーシュ(枠)が設けられ、その中に楔形文字が刻まれていますが、
星形の構成を持つこの文字は「ILU(神)」と解読され、
「(特定の)神」そのもの、あるいは神格を示す限定符(ディンギル)としての意味を持っています。
この星形の文字は古代メソポタミアで神聖な記号で、
この印章が単なる飾りではなく神の加護を求めるお守りであったことが分かります。
硬度の高い赤鉄鉱を使用しているため彫刻のエッジが鋭く残っており、
粘土に転がした際の印影も大変綺麗です。
約2cmほどの小さな円筒印章ですが小ささを感じさせない存在感と
品質の良さを感じます。
牡牛人間はメソポタミア神話に登場し
英雄ギルガメシュの友エンキドゥとも関連づけられることがある存在です。
太陽神シャマシュの従者として人間を守る「善なる力」の象徴として愛されました。



参考例
ライオンと格闘する牡牛人間、水牛と格闘する髭(ひげ)を生やした裸の英雄
アッカド期 紀元前2250〜2150年頃
メトロポリタン美術館
楔形文字の銘文を挟むように配置されています。
一方の組はライオンと戦う牡牛人間でその間には星と三日月が描かれています。
もう一方の組は水牛と戦う髭を生やした裸の英雄でその間には角のある動物がいます。
アッカド語の銘文には、「シュシバ、イシュクル(神)の家(神殿)の僕(しもべ)」と記されています。

メトロポリタン美術館と今回ソレイユで紹介しているアッカドの円筒印章ですが、
両方に神を意味する文字が刻まれています。