古代ローマ2世紀 プラスマ メナデによるプリアポスの祭壇へのお参り
青リンゴのような、まろやかな緑をたたえたプラスマに彫られた古代ローマのインタリオです。
石の中には自然な斑が浮かび、古代の石のそのものの面白さを感じさせます。
石に彫り込まれているのは田園の祠において、
プリアポス神へ供犠(供物)を祭壇に捧げに来たメナデ(バッコス=ディオニュソスに従う巫女)の姿。
手にするテュルソスの杖がこの人物がメナデであることを示す重要な手がかりになっています。
インタリオのモチーフとしては大変珍しいものになります。
プリアポスは庭園や果樹園の守護神としても知られ、
豊穣や生殖・多産、また家畜の繁栄とも結びつけられてきました。
信仰の上ではディオニュソスと特に近い関係にある神とされ、
崇拝は小アジアのランプサコス周辺から広まったとも伝えられのちにローマ世界の広い地域で知られる存在になっていきます。
このインタリオを彫らせた人物も多産や豊穣を祈っていたか、
もしくは多産や豊穣の祈りが叶えられてプリアポス神へのお礼を込めて彫らせたものと思われます。
古代人の祈りをインタリオという石の小宇宙の中で味わえる大変珍しい作品です。

粘土に押すと大変よく彫りがわかります。
テュルソスの杖をもったメナデが供物を持って祭壇の前にいる珍しいモチーフです。
テュルソスを手にしたメナデのフレスコ画
古代ローマ

銀の皿にのった来客用の食事または供物
ポンペイ 古代ローマ
バッコスへの奉献
1889年
ローレンス・アルマ=タデマ(1836–1912)
ハンブルク美術館


リング加工例