古代ローマ1〜2世紀 悲劇のマスク オニキス カメオ ゴールド リング 指輪
楕円形のベゼルの18kのリングに、きわめて稀少なローマ時代の二層アゲート・カメオがセットされています。
青みを帯びた地の上に褐色の上層が重なり、その層を用いて横顔の劇場用マスクが力強く彫り出されています。
大きく開いた口と見開かれた目は、マスクの奥に隠れた俳優の視線が十分に表現できるように造形されています。
渦を巻くカールがうなじに流れ落ちる巻き毛の髪型から、
このマスクは女性役の人物を表していると考えられますが、
ローマ時代にはこうした女性役も男性俳優によって演じられていました。
ローマ時代のカメオはインタリオに比べて現存数が格段に少なく、たいへん希少です。
本作はコントラストの強いアゲートの二色を巧みに生かして彫刻されており、
保存状態も申し分なく、表面の磨きも美しく、彫りのクオリティも極めて高い一点です。
題材自体も非常に珍しく、表現力に満ちています。
そこには、プラウトゥスやテレンティウスの作品に代表される当時の演劇に、
ローマの人々がどれほど情熱を注いでいたかが、そのまま刻み込まれているかのようです。
このカメオの持ち主は、そうした舞台芸術を心から愛した人物であったのかもしれませんし、
あるいは自らが俳優、もしくは悲劇役者であった可能性も想像させます。

演劇の仮面と楽器(竪琴など)を描いた古代ローマのモザイク
カピトリーノ美術館 (Musei Capitolini, Rome)
ローマのアヴェンティーノの丘、カプラリッシのヴィッラ出土
古代の仮面(ギリシャの悲劇/喜劇、ローマのバッカス祭の仮面)をテーマにした手彩色銅版画の図版。
『Bilderbuch für Kinder (子供のための絵本)』
フリードリヒ・ヨハン・ベルトゥフ (Friedrich Johann Bertuch)

アウェンティーノ丘(ローマの七丘のひとつ)の邸宅の食堂
劇場用の仮面や儀式用の小道具 が描かれています。
ハドリアヌス帝時代

大英博物館 (British Museum)
紀元前1世紀末〜紀元1世紀初頭(ローマ時代)

アシュモレアン博物館 (Ashmolean Museum, Oxford)
紀元前1世紀〜紀元1世紀(ローマ時代)