古代ローマ ネズミ 沈め彫り ゴールド リング 指輪
古代ローマ時代の大変珍しいゴールド製のリングです。
丸いベゼルには小さなネズミが精緻に彫り込まれており、愛らしい雰囲気を漂わせています。
ネズミは古代ローマ時代の青銅像やモザイクなどのモチーフにもしばしば登場しました。
当時の人々にとって、ネズミは富裕や神託、風刺、美食にまつわる意味を持っていました。
プリニウスの『博物誌』には白いネズミが幸運の象徴とされることが記され、
またアポロンがネズミの姿をとった「アポロン・スミンテウス」は、疫病と同時に治癒を司る神格を帯びていました。
美食家の多いローマ人にとって、食用ヤマネの蜂蜜焼きは富裕層の高級料理であり、
同時にネズミは穀物を荒らす存在でもあったため、豊穣と被害の両義的な意味を持つ存在でもありました。
古代ローマ時代において金は非常に貴重で高価であり、
このようなゴールド製リングは裕福な人々だけが所有できる特別なものでした。
多くの古代ジュエリーはシルバーやブロンズで作られ、破損して残ることが多いため、
ゴールド製で良好なコンディションを保っているものは非常に稀少で、美術館に収蔵されるクラスの作品となります。
ネズミをモチーフにしたローマ時代のリングは大変珍しく、特注で作られたものでしょう。
おそらくは、豊かな穀物や食料を蓄えた裕福な商人が、富の守護として身につけていたものかもしれません。
愛らしさと象徴性を兼ね備えた、とても魅力的なリングです。
古代ローマ2世紀 ネズミのモザイク
ヴァチカン美術館
古代ローマ1世紀 青銅製のランプの蓋
ヴィクトリア&アルバート美術館

