古代ローマ時代の大変希少なオールオリジナルのニコロのインタリオリングです。

ベゼルには三角形の透かし細工が施され、やや丸みを帯びたデザインで仕上げられたショルダーには

美しい溝が彫り込まれています。

ニコロに彫られたインタリオの謎めいた女性のモチーフはヘラクレスの恋人のオンファレでしょう。

オンファレは木に手をかけて足をクロスさせ、

木の根本にはヘラクレスの棍棒が置いてあるのがわかります。




Hercules and Omphale. 1575-1580
 
Bartholomaeus SPRANGER(1546-1611)

 Kunsthistorisches Museum Vienna 


ヘラクレスとオンファレの神話は楽しく興味深いものです。


ヘラクレスはゼウスと人間の女性アルクメーネの間に生まれた為、

ゼウスの妻のヘラは嫉妬を感じており、ヘラクレスに度々嫌がらせをしていました。


嫌がらせの中で、ヘラはヘラクレスに狂気をもたらしました、

その結果、ヘラクレスは

親しい友人であったイピトスを誤って殺してしまい病に侵されます。


ヘラクレスは治癒のためにデルポイのアポロン神殿を訪れます、

そこでアポロンから奴隷として使えることで病が回復するという予言を受け

リディアの女王オンファレのもとで奴隷として使えることになります。


オンファレの元でヘレクレスは女性の格好をして糸紬など女性の仕事を行うことになり、

オンファレはヘラクレスの獅子の毛皮と棍棒を身につけました。


たくましいヘラクレスが女性の格好をして不慣れな糸紬をしているシーンは想像するだけで楽しいですね

この出会いによりヘラクレスとオンファレは恋におちるのです。

この楽しい題材は多くの画家に描かれています。


このリングは素晴らしいコンディションを保っており、

表面には美しいサテンのような艶があります。

1940年以前のフランス(ピカルディ地方)の古いコレクションから出たものです。