洗練されたデザインの大変美しい古代ローマのリングです。
デザインの特徴から古代ローマ3世紀頃の作品であることが分かります。
大型のインタリオがセットされており彫り込まれているモチーフは英雄テセウスです。
テセウスはギリシャ神話に登場するアテナイ(アテネ)の王であり、
古代神話においてヘラクレスに並ぶ英雄の一人で多くの冒険が神話に残され
多くの芸術家にインスピレーションを与えてきた存在です。
インタリオの彫りもリング同様に洗練されていると思います、
静けさの中で今にもテセウスがゆっくりと動き出しそうな神秘的な雰囲気を感じます。
古代ローマ時代のリングの多くはブロンズやシルバー製であることが殆どで
このようにゴールド製で大型で重さもあり、
さらに美しいインタリオまでもセットされているものは本当に貴重な作品になり、
年々見つけることが難しくなっているのを感じます。
インタリオを粘土に押した写真です。
テセウスは横向きの立ち姿で彫り込まれており、
手には皮ベルト付きの剣、足元には武具が彫り込まれていますが、
このシーンはテセウスの神話の一部になのです。
古代ローマ1世紀 壁画
テセウスの父であるアテナイ王のアイゲウスには男子がおりませんでしたが、
トロイゼンの王がデルフォイの神託により
アイゲウスを酔わせ娘アイトラーとの間に子を作らせます。
アイゲウスはアイトラーに、もし生まれてくる子が強い男子であれば、
大岩の下に隠した武器を持って私に会いにこさせるように、、、と言ってアイトラーの元を去ります。
大きく成長したテセウスは怪力で大岩を動かし、武器を持ってアイゲウスに会いに壮大な旅にでるのです。
インタリオはこの時のテセウスをモチーフにしているのです。
Theseus And His Mother Aethra
1635-36
Laurent de La Hyre
Theseus Recognized by his Father
1832
Hippolyte Flandrin
インタリオの素材はニコロです。
ニコロとは非加熱のオニキスのことで黒色の層と青みがかった色の層に分かれています。
この層の色の違いを利用して彫りを施すと霧の中にモチーフが浮かび上がったような
神秘的な雰囲気になります。
シックな色味が古代人に好まれたようで彫りの良い上質なインタリオに
使われていることが多い石になります。
シャンクにはシャープな線が彫り込まれており美しいデザインです。
見た目は大型ですが女性も男性も身につけられる標準的なサイズです。