ヴァチカン 1870年頃マイクロモザイク 「海馬」 ブローチ&ピアス
イタリア、ヴァチカンで1870年頃に制作された
美しいマイクロモザイクのブローチとピアスのセットです。
マイクロモザイク作品に選ばれるモチーフの多くは
古代ローマ遺跡や田園風景、犬や鳥、花、
有名な芸術作品の模倣や宗教的なモチーフが多いのですが、
このマイクロモザイクのモチーフはとても珍しく海馬が選ばれた特別なものです。
海馬は海神ポセイドンの戦車を引き、絵画や彫刻に登場する怪物です。
Neptune Resigning to Britannia the Empire of the Sea (1847)
William Dyce (1806–1864)
Arion on a Sea Horse (1855)
William Adolphe Bouguereau
左右に頭を向けた海馬が2頭、絶妙な色合いでモザイクで表現されています。
手前の海馬は赤など強い色が使われ、奥の海馬は暗めの色で表現されていますので遠近を感じます。
モザイクはテッサラと呼ばれる極小のガラス片を職人が一つずつ嵌め込んで制作しますので、
大変な手間のかかる繊細な芸術作品でした。
大きなものは家具や小物などに嵌め込まれていましたが、
ジュエリー用の小さな作品が主に制作され、パリやロンドンに輸出されていたのです。
「マイクロモザイク」という用語は、
装飾美術の著名なイギリスの収集家サー・アーサー・ギルバート(1913-2001)によって命名されました。
以前は「ローマのモザイク」と呼ばれていましたが、
これらのモザイクは古代の芸術を参照しているものの18世紀後半まで存在しなかったため、
この用語は歴史的に誤解を招くと考えられました。
ギルバートは一生を通じてマイクロモザイクを収集し世界最大のコレクションの一つを築き上げました。
彼のコレクションは現在、
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館とロサンゼルスのロサンゼルス郡立美術館(LACMA)に収蔵されています。
離れて見た時の効果を考えて構成された美しい色合いだと思います。
拡大すると、モザイクの驚異的な細かさを感じて頂けると思います。
ピアスには葡萄と海馬が表現されています。
美しく揺れるように計算された作りです。
セットで作られたアンティークジュエリーは長い時の中で
通常は離れ離れになっていることが多いので、
こうして今日でも一緒に残っていることは珍しいです。
華やかな色のコーディネートにもよく似合うと思います。
珍しいマイクロモザイクのジュエリーをお探しの方は是非お問合せ下さい。