新王国時代の古代エジプトで当時の寺院などの財務を担当していたと思われる

イン ペハウゼン(IN PEHOUYSEN)の為に作られた美しいスカラベです。





このスカラベは当時のオリジナルの研磨状態をほぼ保っており、

表面の艶が大変美しく重厚感があるものです。


多くの古代エジプトのスカラベは

表面の艶が失われマットな状態であったり壊れているものが殆どですが、

このスカラベは保存状態が極めて良い希少なものです。










スカラベは顔や胴体、足など細部まで大変丁寧で細かな彫り込みで作られています、

全体的に丸みがある形で直線的ではない作りで、

腕の良い彫刻師によって作られた大変高級なものであることが伺えます。


このスカラベにはフランス政府に認められた保証書と、

ヒエログリフが読める専門家が記した資料がついています。

この二つの資料が制作されたのは同時期ではなく、

別々の専門家によりまとめられているので、

素材に見解の違いがあり、

素材は閃緑岩もしくはブラックステアタイトと記しましたが、

質感と重量から閃緑岩と思います。






スカラベの裏面には有名な「死者の書」のXXXB章の一部が、

優雅なヒエログリフで深く彫り込まれていますが、

当時、いくつか種類があった死者の書の中でも、

通常よく使われるものとは異なった死者の書の一節が彫り込まれているのも珍しいです。






このイン ペンハウゼンという名前は、

新王国時代第19王朝のラムセス2世時代(紀元前1295年〜1069年)に存在しています。





この名は、ヘルマン・ランケの参考文献『Die ägyptisches Personnenamen』

I, 34, 21 (1935) (エジプト人名事典)に記載されています。

ランケは、古代エジプトのスカラベや遺跡などを細かく調べて

古代エジプト人の名前を収集して本にまとめました。


ヘルマン・ランケの参考文献は

ブリティッシュミュージアムのウェブサイトでも資料として使われています。





























この艶やかな美しいスカラベは

通常は美術館のガラス越しに見るような古代美術品です、

手のひらに乗せるとひんやりとして心地よい重みを感じます。


古代エジプトからそのままタイムスリップしてきたような保存状態の良さですし、

このスカラベを側に置けば、その場の空気が変わるような

重厚な雰囲気が漂います。