古代ローマ紀元前1世紀〜2世紀 バッカス神とサティーフ カルセドニー インタリオ
古代ローマ時代の驚異的な彫りの見事なインタリオ、
モチーフ、構図、彫り、、、、どれをとっても大変見応えがあります。
古代のインタリオの中でも特に例外的な素晴らしい作品であり、
古代人の能力の高さを改めて感じます。
古代のインタリオの中では大きめのサイズですが、
それでも一円玉とそれほど差はありません。
インタリオは写真では大きく見えますが実際はとても小さな美術品です。
右側に大きく屈んだ姿で彫られているのはサティーフです。
サティーフは半身半獣の森の住人で、ワインを好みお調子者で快楽を求める性格でした。
彼らの多くは上半身が人間、下半身が山羊という表現が多いのですが、
このサティーフは尻尾が生えた姿で彫り込まれています。
手にはサティーフが好んだアウロスと呼ばれる2本の細長い古代の楽器を持っていますが、
この楽器は奴隷や売春に携わる者が奏でた楽器でもあります。
顔立ちや肉体の表現も力強くで素晴らしいです、
手が縛られた構図で、大きく見開いた目で左側の小さな人物を見つめています。
左側の柱の上の小さな人物はバッカス神です。
拡大しているので彫りの細かさが分かりにくいですが、
この神は約3ミリほどのサイズですので、
サイズを想像するといかに驚異的な彫りであるかを感じて頂けると思います。
手にはテュルソスと呼ばれる杖を持ち、足元には豹がいます。
テュルソスも豹もバッカス神のアトリビュートです。
手には恐らく古代の器のカンタロスを持っていると思いますが細かすぎて分かりません。
筋肉質な肉体、杖を握る手や曲げた膝など、3ミリのサイズで彫り込まれていることは
驚異的で現代人の感覚ではなかなか理解ができないと思います。
人間の感覚はもともと大変優れており、このような緻密なものを機械なしで作ることが出来るくらいなのですが、
便利な道具があるとその感覚がどんどん鈍ってしまい細かな物を作ることが出来なくなります。
意外に思われるかもしれませんが、便利な機械や道具に囲まれた現代人よりも
人間の感覚の鋭さを失っていない古代人の方が細かなものを作ることが出来たのです。
参考 古代ローマ時代の壁画
粘土に押した画像
これだけの素晴らしい彫りの古代のインタリオ ですので、
右下の欠けは価値に影響を与えませんし、
年代を考えれば通常のダメージになります。
参考 サティーフのインタリオ