古代エジプト・ローマ時代の強力な厄祓いの力を持つ魔法のインタリオをご紹介致します。
魔法のインタリオはインタリオの中でもとても希少なモチーフです。
古の人々は神々の存在と力を強く信じており、
加護を得られるように祈ることは日常生活に溶け込みごく自然な事でした。
このインタリオは彫り込まれた内容から大変強力なお守りとして作られた事が分かります、
持ち主の死後、繊細で脆い魂が神々に力によって悪霊から守られて無事に冥府へ向かう事ができ、
しかる後に魂が蘇生し、魂が無になることを防いで作られたものなのです。
この石はおそらくヘマタイト(鉄)と思われます。
ヘマタイトは水と接触すると、鉄は水を(さびた鉄の)赤みがかった色に変えることがあり、
その不思議な現象から、この石自体が魔法そのものと考えられていたため、
多くの魔法のインタリオはヘマタイトで出来ているのです。
また、ヘマタイトという名称はギリシャ語の血液に由来します。
このインタリオ には多くのモチーフが彫り込まれています。
これだけ一度に沢山のモチーフが彫り込まれている魔法のインタリオは珍しいです。
これらのモチーフの意味をご説明致します。
1 この世での生を終えた持ち主
2 獅子にのったヘリオス神
3 アブラクサス神
4 冥府の3柱のヘカテ
5 2匹の魚又は海老
6 月と星
横たわる1番はこの世での生を終えた持ち主です。
生を終えた持ち主の体から抜け出た魂は2番のヘリオス神に導かれながら冥府を目指します、
ヘリオス神は魂を護衛するサイコポンプとして獅子に跨った姿で彫られることで
より強力な魂の導き手として表現されています。
ヘリオス神の下に彫り込まれている5番の2匹の魚又は海老は暗い水底、死を意味し、
上に彫り込まれている6番の月と太陽は日々繰り返される再生のシンボルで永遠の命を表しています。
ヘリオス神に導かれているとはいえ、魂は非常に脆く壊れやすい存在であったので、
4番の冥府の3柱であり死者と月の女神ヘカテと3番の太陽を司る魔法の神アブラクサスの力により、
死者の魂が死を生き延び、永遠の命として、または蘇生したもう一つの命に生まれ代われるよう、
魂の旅が無事に終わるように力を添えているのです。
更にヘマタイト自体も生命の象徴である血の力を与えており、
このお守りは強力な厄祓いとして、
魂が消えて無になることを防げると信じられて身につけられたものです。
もしくは死者と一緒に埋葬されたものでしょう。
この希少なインタリオ は1930年にTabard collectionであった事が分かっています。
大きさは 2cm × 1.8cm × 0.7cm ですので、
22kを使って古代風の美しいペンダントに加工することができます。
力のある神々が一つのインタリオに彫り込まれて神の囁きが聞こえてきそうです、
魂の旅の物語を表現したマジックインタリオは大変魅力的ですし、
そのまま強力なお守りとしてお持ちになってもとても面白いと思います。
魔法のインタリオ 参考例
魔法のインタリオ 参考図書