古代ローマ1世紀 インタリオ 希少な題材 古代の彫刻職人 レキュトス
今までに資料でしか見た事がないモチーフの古代ローマのインタリオです。
実際にこのモチーフに出会えた事に驚くと同時に感動します。
椅子に腰掛け、手には彫刻道具を持ち、
古代の壺の一つであるレキュトスに向かい合って座っている人物は彫刻家だと思われます、
多くのインタリオのモチーフは、神や動物、神話になりますので、
人々の生活がモチーフになることは非常に珍しいです、
特に壺の彫刻をしている人物のモチーフは見た事がないくらい珍しいので、
何かに影響を受けたものかなと思います。
もしかしたら、このインタリオが作られた年代にオウィディウスによって書かれた
変身物語に彫刻師ピグマリオンが登場しますが、それに影響を受けたインタリオなのかもしれません。
、、、ピグマリオンは優れた彫刻師でした。
美に敏感なピグマリオンは現実の女性に幻滅し、理想の女性ガラテアを彫刻し彫像を本当に愛してしまいました。
日に日に精神を病んでいくピグマリオンを不憫に思ったアフロディーテが
ガラテアを本物の人間の女性に変身させ、ピグマリオンとガラテアが夫婦として結ばれる物語です。
もしかしたら、そんな背景も関係して作られたインタリオなのかもしれませんね。
レキュトスに彫刻を施す職人が彫り込まれていますので、
ピグマリオンのような素晴らしい作品が職人として作れるようにと祈りを込めて捧げられたのかもしれません。
どちらにしても古代の工房の雰囲気が伝わってくるようで本当に面白い題材です。
粘土押すと美しい彫りが浮かび上がり、人物もレキュトスも細かく彫り込まれている事が分かります。
静けさに包まれながら、集中して作品を作っているような雰囲気が伝わってきます。
インタリオ を通して数千年の時を経て古代ローマ時代を覗き込んでいるような
錯覚に陥る素敵なインタリオ だと思います。
類似作品 資料
Marie-Louise Vollenweider, Catalogue du musée d'art et d'histoire de Genève,
1979, vol.II, n°560-562
インタリオの中の職人が作っていたのはこのような古代ローマのレキュトスだと思われます。
ルースの状態でのご紹介ですが、リングやペンダントに加工することもできます。
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