この指輪の持ち主は一体どんな人物であったのか、、、想像力を掻き立てる類い稀に美しい貴族の紋章リングです、
このリングの持ち主は、リングの作りと紋章の内容から当時でも相当裕福で力のあった貴族である事が伺えます、
まさに、豪奢な衣装に身を包んだ貴族の肖像画に登場するような人物が身につけていたようなリングと言えます。
17世紀 ハンガリー貴族の肖像
二つの紋章が横並びで一つにベゼルに彫り込まれていますので、これは結婚のリングでしょう、
年代は17世紀、紋章の内容からハンガリーかドイツのリングと思います、
深い赤で透明感のある美しいコーネリアンに2つの紋章が彫り込まれており、
その彫りの技術の高さは一目で分かるほどに緻密で、
粘土に紋章を押した時に現れる渦巻くような立体感に圧倒されます。
画像を拡大してしまうと宝石彫刻の細かさが伝わりにくいのが大変残念なのですが、
コーネリアンの大きさは約1.2cm程の小ささ、ベゼル前面に細かく彫り込まれています。
粘土に押すと二つの紋章が浮かび上がります。
紋章の内容からハンガリーかドイツと思われます、
紋章内に彫り込まれたモチーフはさらに上部にも表現されています。
この二つの家の紋章を調べたところ、どこの貴族の紋章かが分かりました。
von HAIBACH 家
ドイツ 15世紀
一つ目、ベゼル左側に彫り込まれている紋章はドイツの貴族です。
馬がモチーフの貴族の紋章は珍しく、特に手綱も表現されているのは見た事がなかったように思います。
KISZELY 家
ハンガリー 12世紀
ベゼル右側、ペリカンが子に餌を与えているモチーフの紋章です。
両方の紋章は小さな石に非常に細かく彫り込まれ、
ベゼルを押した粘土をルーペで覗くと馬やペリカンの彫り込みの美しさはもちろん、
騎士が身につけていたマントを模した部分の彫り込みが渦巻きながら
手前に迫ってくるように表現されていることに驚きます。
ベゼルの両脇にダイヤモンドが留められており、当時の贅沢なリングであった事が伺えます。
ダイヤモンドは今とは比較にならないくらいに高価で珍しい宝石でした。
このリングの美しさは動画の方がずっとよく分かりますので
是非是非、ご覧になってください。
紋章や石の美しさを感じて頂けると思います。
裏面のエナメル細工も素晴らしく、この年代の指輪で珍しい装飾です。
サイズから男性が身につけていたリングと思われますが、
女性が身につけても素敵なリングでサイズ変更も可能です。
滅多にない素晴らしい紋章リングです。
動画の方がこのリングの美しさがよりよく分かりますので、
是非、動画をご覧になってください。