紀元前275年〜250年、
今から約2200年前の本物の古代ギリシャのシルバーコインを素材に使った古のロマンあふれるヴィエーズのブローチです。
しっかりした作りの18kのフレームに大きな6本の爪でシルバーコインがかっちり留められています。
フレームは空洞ですので、見た目よりは軽い作りです。
ヴィエーズはフロマンムーリスの工房で作品制作をしていたこともあり、
ネオルネサンスやネオゴシックのデザインを得意としていましたが、
ルーヴル美術館にてカンパナ公爵の考古学コレクションに接した1860年代には、
カステラーニが製作しているようなアケオロジカル・スタイルのジュエリーに感化され、
古代風のジュエリーの制作を始めました。
今回ご紹介しているブローチも本物の古代のコインを素材として使った
アケオロジカルスタイルのジュエリーです。
参考 古代ギリシャシルバーコイン
参考に掲載しているのはカンパニア州ネアポリス、紀元前275年〜250年頃のコインです。
今回ご紹介しているブローチと同タイプのコインになります。
画面左側には、冠と大ぶりのイヤリング、ネックレスを身につけたニンフの頭部と
松明を持った小さなアルテミスが表現されています。
右側には人面の牛に花冠を被せながら飛行している有翼の女性、ニケが表現されています。
その下部にはNEOΠOΛITΩNと刻字があります。
この人面の牛は、古代ギリシャの水の神であるアケローオスと言われています、
アケローオスは変身術を得意とした神で中でも雄牛や大蛇へと姿を変えることで知られています。
Hercules and Achelous
Cornelis Cornelisz. van Haarlem,
1590
アケローオスに関する神話では、
美女デイアネイラを巡りアケローオスがヘラクレスと戦った神話があります。
アケローオスは雄牛に姿を変えて戦いましたが、ヘラクレスに角を折られ、
傷ついたアケローオスは近隣のアケロース川で傷を癒しました。
折られた角は豊穣の角コルヌコピアに姿を変え、食べ物や宝石など、富を絶えず生み出したと言われています。
このコインが作られたカンパニア州 ネアポリスの歴史を簡単にご説明します、
チレニア海の入り江であるナポリ湾に面するカンパニア地方に位置するイタリア南西部のネアポリス(現在のナポリ)は、
紀元前650年にメガリスの小さな島(カステルデローヴォ)を含む港湾地域に沿って
ギリシャ人によってクマエ(Cuma)から作られました。
その後も入植者はユービアのカルキス、クマエ湾のそばのピテクサエ(イスキア)、そしてアテネからやって来ました。
都市は北東に向かって長方形の格子状に拡張されていき、ネアポリスと名付けられました。
ネアポリスの都市が形成された後、
市内の最も古い部分はパレオポリスまたはパレポリス(旧市街)として知られるようになりました。
その都市は紀元前327/6年頃にローマの将軍クィントゥス・プブリリウス・ピロによって征服され、
その後、ネアポリスはローマと同盟を結び、ギリシャの伝説が描かれた硬貨を発行し、
エピルスのピュロス(紀元前280-275年)と第二次ポエニ戦争(紀元前218-201年)で
ハンニバルに対抗する手助けをしました。
この地に住む人々はこのような歴史を通しながら、近隣のアケロース川にも誇りを持っていたのです。
アケロース川はホメロスがギリシャで一番長い川だと言及し、
この強力な水の神への信仰は古代ギリシャ全土に広がっています。
WIESE のメーカーズマークと18kの鷲のホールマークが打ち込まれています。
本物の古代ギリシャのシルバーコインを使ったお洒落でロマンあふれるジュエリーです、
このようなアイデアはアケオロジカルスタイルのジュエリーに時々見られますが、
こちらはヴィエーズのサインドピースですので、作りもしっかりしていますし、
無駄のないシンプルなデザインで末長くお使い頂けるでしょう、
ゴールドチェーンと合わせても雰囲気のあるスタイルがお楽しみ頂けると思います。