アール・デコの大変洗練されたデザインのブローチ、
夜空の雲の隙間から月が顔をのぞかせたような神秘的な雰囲気が全体に漂っていて、
アールデコに活躍した多才な美術家エルテの世界を連想させる
美しいアールデコジュエリーです。
Queen of the night
Erté
全体のバランスの良さ、本当に素晴らしいと思います、
青いメインストーンはアクアマリンではなくシンセティックスピネルです、
当時、シンセティックは開発されたばかりの最先端の流行の素材でした、
美しいデザインに加えて、素材も最先端のものが選ばれ、
本当に当時のセンスの良いジュエラーが作ったジュエリーであることが伺えます、
シンセティックは色合いが鮮やか過ぎる場合がありますが、
この石は不自然ではない、やや淡いスカイブルーの美しい色のシンセティックストーンで、
全体の雰囲気によく調和していると思います。
石は厚みがあり、カットも綺麗でとてもよく輝きますので
ぜひ動画もご覧になってください。
シャープな黒い線のように見える部分はカリブレカットのオニキスです。
オニキスの表面は複雑に多面にカットされているので、
光が反射するとレールの上を光が走るようで、石の存在感が際立って美しいです。
このオニキスの黒いラインは全体を効果的に引き締めていますが、
特にスピネルの上下を弓状のラインが囲んでいるデザインが本当に素晴らしく、
飛び抜けた個性と美しさ、その両方がうまく調和していると思います、
デザインや素材、全てにこだわりが感じられます。
Purity
Erté 1920
Harper's Bazaar
Erté, 1918
プラチナ台に細かくセットされているダイヤモンドは
中央から外側へ向けて小さな石から大きな石へとグラデーション状に留められており、
繊細な光を放ちます。
また、写真では平面な作りに見えてしまうかもしれませんが、
実物は絶妙な立体感を感じさせる作りです。
中央は少し窪んでいて、左右に伸びるプラチナ細工は手前へ少しせり出しています、
そしてオニキスのラインが一番盛り上がっています。
このような微妙な作りの差が全体の仕上がりを美しくします。
ブローチの金具もしっかり留まる作りになっていて
落とす心配がなく安心です。
裏面の作りもすっきりして綺麗です。