19世紀の名高いジュエラーの一人、
ヴィエーズ作のゴシックリヴァイヴァルの重厚なゴールドネックレスをご紹介致します。
立体的で深い彫金が手前に迫ってくるような力強さがあり、
中世の教会や家具にはめ込まれていた装飾が
そのままジュエリーになったような雰囲気が漂っています。
参考 ゴシックリヴァイバルの木製彫刻 19世紀
このジュエリーが形になるまでに、どれだけの情熱が捧げられたことでしょう、
ゴシックリヴァイヴァルとは
19世紀にロマン主義の影響のもと中世美術への憧れが高まり
それがジュエリーのデザインに落とし込まれたスタイルの事です。
中世美術の装飾をそのまま取り入れたのではなく、
少しアレンジしています。
その為、12世紀〜15世紀の建築や絵画、マニュスクリプトなどに
似た雰囲気の装飾を見ることが出来ます。
参考 13世紀頃のゴシック建築 デッサン
尖頭アーチ(頭の尖ったアーチ)の
透かしの装飾部分の形がネックレスのデザインともよく似ていることが分かります。
参考 マニュスクリプト 15世紀
赤・青・黄のうねる炎のようなアカンサスの葉のデザインが、
ジュエリーの装飾の参考にされています。
参考 右 胸に手を当てた若い男の肖像 1482年〜1485年頃 サンドロ・ボッティチェリ
左 若い男の肖像 1485年頃 フィリッポ・リッピ
モチーフ部分の中央から若い男性が顔を覗かせておりますが、
帽子をかぶった男性の姿は15世紀頃の男性のものです。
恐らく建築家や画家、彫刻家などの芸術家だと思われます。
チェーンをチェーンをつなぐ小さく愉快な人物像の装飾は、
一つ一つ全てデザインが違っており豊かです。
ゴシック建築に施された小さな彫刻の装飾や、
マニュスクリプトに登場する人物達を元にイメージを自由に膨らませたものなので、
この人物像はどれが誰とははっきり言えませんが、
中世のマニュスクリプトの影響を受けているものがありましたのでご紹介いたします。
参考 左 本物の中世のマニュスクリプト
長い耳と杖を持った人物はブッフォンと呼ばれ道化師でした、
今回のネックレスの小さなパーツにも影響が見られます。
参考資料 中世のマニュスクリプト
右側で笛を吹いている人物はメネストレルと呼ばれる吟遊詩人です。
吟遊詩人は19世紀には羽の生えた帽子をかぶった人物として表現されることが多くありました。
参考 19世紀のイラスト
こちらは中世のマニュスクリプトではなく、
19世紀の人々が中世の人々の衣装や生活を想像してアレンジして描かれたものになります。
このように、ゴシック様式の装飾を様々に取り入れて昇華しながら
一つのジュエリーに仕上げていることが分かります。
ゴシックリヴァイヴァルのジュエリーではヴィエーズの他にフロマン・ムーリスも有名です、
ヴィエーズの創設者、ジュール・ヴィエーズはフロマン・ムーリス工房でも腕を発揮し
フロマン・ムーリスとも長い期間、信頼関係で結ばれ、
ジュエリー制作を共にしておりましたので、その影響も見られます。
ジュール・ヴィエーズは
1855年の万国博覧会と1862年のロンドン万国博覧会でメダルを受賞した後に引退をしますが、
1880年に同じく才能豊かであった息子のルイ・ヴィエーズに家督を譲っています。
彫金の立体感や深みのある金の色などより良く分かりますので
ぜひ動画もご覧くださいませ。
中世の教会の大きなアーチが精巧なミニチュアになったかのような
作り込まれた立体感で本当に素晴らしい彫金で圧倒されます。
アンティークゴールドの金の色は陰影により深みを増し、
まるでパチパチと燃える炎に照らし出されているような迫力があります。
チェーンも捻ったようなデザインで質感が美しいです、
小さな人物のパーツも両面に装飾が施され厚みがある作りです。
全体のバランスを考えて、
大きな雫型の天然真珠が選ばれて下げられています。
天然真珠もネックレスのクオリティにふさわしいもので
大変美しい照りと艶です。
ヴィエーズの刻印とメーカーズマーク入り。
参考写真 ヴィエーズ 類似作品
参考写真 ヴィエーズ 類似作品
身につけた時の美しさ格別です。
金を多く使った大きめのサイズのネックレスなのですが、
全く派手ではなくシックで落ち着いた美しさに溢れていることに驚きます。
滅多に手に入らない素晴らしいジュエリーですが、
市場価格より随分お値段お求めやすくご紹介しております。
このクオリティのアンティークジュエリーを
お求めになる素晴らしい機会かと思いますので、
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。