制作年代は5世紀〜7世紀、西ゴート王国の大変希少なネックレスです。
西ゴート王国は約4世紀〜8世紀の短期間に存在した王国ですが、
フン人の圧迫から逃れる為に移動した事がゲルマン民族の大移動へとつながったと言われており、
それをきっかけに安住の地を求めて住む土地を変えることが多く、
また血筋ではなく力のある者が国を納めていたので
王が頻繁に変わったこともあり、古代ヨーロッパの激動の歴史と共にある王国です。
その渦中で制作されたネックレスであることを思うと
大変なロマン、心躍るようなミステリーに溢れていると思います。
このネックレスが作られた当時、金のジュエリーの希少性は群を抜いておりましたが、
ネックレスの重さは18.8gもあり、当時としては例外的で大変豪華な作りで
極めて位の高い女性の胸元を飾ったジュエリーであったことが伺えます。
サイズは約40cmと小さめですので、
当時の女性は小柄ではありましたが、もしかしたら若い女性が
身につけていたのかもしれません。
ゲルマン民族はローマ帝国の民からは蛮族と呼ばれており、
まさに、蛮族の姫の持ち物であったことでしょう。
そしてどのように現代まで壊れずに残ってきたのか•••
そんな事を想像できるのも古代ジュエリーの魅力です。
古代のネックレスはリングなどに比べるとチェーンがより繊細ですから
長い時を超えて残りにくい為、
希少な古代ジュエリーの中でも更に際立って珍しいものです、
ですので、全てのパーツがオリジナルで残っており、
着用可能というのは奇跡的なコンディションの良さになります。
市場に出てくることは殆どなく、
通常は美術館のガラス越しに見るジュエリーです、
ジュエリーでもあり、美術品でもあるお品物になります。
時を超えた金の質感の美しさは感動的で、
金の表面を薄い絹がふわりと何重にも覆っているような独特な繊細さを感じます。
絹の隙間から金の光が見え隠れしているような神秘的な雰囲気があります。
手に持つと、しゃらしゃらとした心地よい音が聞こえますが、
この音を千数百年以上前の女性も聞いていたかと思うと感動的です、
古代のジュエリーにロマンを感じる方にとっては
素晴らしい宝物になると思います。
鷲のペアのフィビュラ
西ゴート 6世紀
ウォルターズ美術館
西ゴート 法典
6世紀
グアラサールの宝物
西ゴート 7世紀
メインパーツとクラスプ部分にはガーネットがはめ込まれており、
深い赤色で透明感にも優れた美しいガーネットです。
メインパーツは縁に沿って撚り線の細工が施されています。
チェーンの作りは、一つの細長い輪を捻って形作っています
シンプルな作りですが、空気を含んだような軽やかな質感が本当に美しいチェーンです。
クラスプ部分にはガーネットがはめ込まれており、
髪をあげた時に装飾部分がうなじの上でよく見えるようになっています。
シンプルなフック型のクラスプの作りなどからも、
古代のジュエリーの特徴が出ています。
身につけると、ちょうど首の側面あたりの位置に乗るようになっている装飾です。
リボンのようなデザインに丁寧に金の粒をつけています。
アンティークの他のゴールドジュエリーとの重ね付けに合わせても素敵です、
美術品でもある古代ジュエリーを実際に身につけて楽しむことができるのは
本当に贅沢ですし、雰囲気の良さがまた格別です。
インタリオを使ったジュエリーとの相性も抜群だと思います。
同年代の古代のネックレスの資料ご紹介いたします。
チェーン、クラスプの作りなど、類似部分や多彩なデザインを
ぜひご覧になって下さい。
参考画像
エメラルド サファイヤ パール ゴールドネックレス
ビザンチン 6世紀〜7世紀
参考画像
サファイヤ ブルーカルセドニー パール ゴールドネックレス
コンスタンチノープル?6世紀後期
このカメオのネックレスはチェーンの作りが今回ご紹介しているネックレスと同じです。
参考画像
サファイヤ エメラルド ゴールド ネックレス
コンスタンティノープル? 6世紀後期
ゴールドネックレス
古代エジプト 6世紀後期〜7世紀
ゴールドネックレス
古代ローマ 3世紀
ゴールド カメオネックレス
古代ローマ 2世紀後期〜3世紀
このカメオのネックレスはチェーンの作りが今回ご紹介しているネックレスと同じです。
ブルーカルセドニー アメジスト エメラルド サファイヤ
水晶 ガーネット コーネリアンパール ゴールド ネックレス
ビザンチン 6世紀〜7世紀
ゴールドネックレス
ビザンチン 6世紀〜7世紀