古代ローマ時代の宝物をご紹介いたします、
すべて当時のままのオールオリジナル の希少なインタリオリングになります。
彫り込まれているのは、下向きの松明を抱え、物憂げに頬杖をついている有翼の幼子、、、
下向きの松明は、今は亡き者の魂に関連があると言われており、
このモチーフは、死者の魂を運ぶタナトスか
会えない者への愛を司るポトスと思われます、
タナトスは死者の魂を冥府へ誘う神で、
下向きの松明や剣がアトリビュートとして添えられることが多いモチーフです。
カメオ タナトス
古代ローマ 2世紀〜3世紀
エルミタージュ美術館
コイン タナトス
古代ローマ 2世紀〜3世紀
ブリティッシュミュージアム
モザイク エロテス
古代ローマ
ポトスは愛の神エロスから派生したエロテスの一人と言われています、
エロテスとはエロスに似た有翼の神で複数おり、
愛情の形が様々であるように、それぞれが繊細で複雑な愛の感情を司っています、
ポトスは思慕や、会えない者への愛も司っています。
アムールとプシュケ
ウィリアム・ブーグロー
1890年
また、愛の神エロスの恋人は魂を表すプシュケであるのも
関連が感じられるところです。
タナトスやポトスがこのような愛らしい姿で
インタリオやカメオ、コインにも表現されているのは、
古代ローマ人の今は会えない者への温かな愛が伝わってくるようです。
古代ローマ時代のこのサイズのインタリオの中では
最高品質といえる彫りで、
彫り、構図、磨き、共に見事で時間をかけて丁寧に作られています。
制作年代は紀元前1世紀ですが、ヘレニズムの様式も感じられます。
古代ローマのインタリオはざっくりとした勢いのある彫りのものが多く、
力強さが大変魅力ですが、
このインタリオは大理石で出来た古代彫刻を思わせるような精緻なタイプの彫りです、
リングもすべて当時のオリジナル ですが、
古代ローマのインタリオはルースの状態で残っていることが殆どですから、
このように古代のリングにセットされた状態で残っているものは滅多に出会うことはなく、
あったとしても状態が悪かったり、
インタリオやリングの品質が良くないものが多いですから、
稀にみる美しさを備えた古代のリングと言えると思います。
また、本来、インタリオは小さなものが多く、
ルーペで見て初めて何が彫り込まれているか分かるような小さな物もありますが、
このインタリオは、古代ローマのインタリオの中では大きなサイズで、
鏡のように磨き上げられたコーネリアンにモチーフがはっきりと彫り込まれており、
ルーペがなくても彫りが分かりやすく見ごたえがあります。
コンディションもインタリオの左脇に僅かな欠けがあるのみで
大変良いコンディションを保っています。
全体の構図が楕円の石の中に綺麗に収まっており、
足をクロスして、下に向けた松明に体重をかけて物憂げに頬杖をついている様子、、、
とても自然でバランスが良いです。
細部の彫りも是非よくご覧になってください、
大きな目鼻立ちの顔、ぷっくりした頬、巻き毛、翼の彫り込み、、
丸みを帯びた幼子らしい体、、、繊細なタッチで丁寧に表現されています、
そして仕上げの磨きが本当に美しいです、
動画をご覧いただければ分かりやすいと思いますが、
光を反射すると石の表面は鏡のように光りますが、沈め彫りの内側も綺麗に丁寧に磨かれているので、
彫りに沿って滑らかに光り、時折カメオにも見える不思議な立体感を感じます、
石の中に小さな神が宿っているかのような雰囲気があり
このようなインタリオは滅多にないと思います。
石自体も上質で、使われているコーネリアンは深く落ち着いた赤茶色をしており、
リングの金が透けて見える程に透明感に優れた美しい石です。
リングの形も美しいです、
古代ジュエリーの中では嵌め心地もよく、
サイズも約9号程になり、身につけやすいサイズです。
腕の良い職人がおりますのでサイズの微調整は可能です、
お気軽にご相談くださいませ。
古代ローマの極小の芸術作品であるインタリオは、
持ち運ぶことが出来る古代彫刻と言えると思います。
リングは作りが小さめで繊細ですが、
セットされているインタリオ自体は大きめで、
ベゼル全面に彫りが大きく豊かに施されている印象です。
古代ローマの最高品質のインタリオはコレクションとしてもご満足頂けるお品物ですが、
このインタリオの彫りは肉眼でも見えやすく、
リングの強度も十分にありますので、
指にはめて美しい彫りを楽しむことが出来る宝物です。
左 タナトス カピトリーニ美術館
右 ポトス ウフィツィ美術館
中世の壁画