古い革の箱を開けると、、、、
美しいパリュールが、、、(^-^)
綺麗にセットされているので、持っているだけでも嬉しくなるようなお品物ですね。
このようなパリュールは、自身の地位をはっきりと表す為に
上流階級の女性にとってなくてはならないとても大切なジュエリーでした。
神話を題材にしたマラカイトのカメオをちりばめた
ネオクラシカルスタイルの
ヘッドオーナメント、ピアス、ブローチ、ネックレスのセット、
美しい2カラーゴールドの優れた細工が光るフレームにセットされています。
マラカイトは壊れやすく、カメオを彫るのがとても難しい石ですから、
これだけのカメオを準備するのはなかなか大変だったと思いますが、
このパリュールが作られた19世紀は美しい緑色のマラカイトが大変流行していたために
こうしてジュエリーとして仕立てられているのです。
マラカイトは磨くとややメタリックな感じが出ますので、
カメオなどの彫刻を施すと質感に深みが出て美しいです。
このパリュールは
ロンドンの宝石商である Harvey & Gore 製のもの、
1723年創業ですが、古いバージョンのロゴはこのように1720年と記載されたものを使用しています。
現在もHarvey & Goreはロンドンに店を構えており、300年続く老舗です。
箱に記されているマークは偶然にも2019年の干支、猪でした。
昨年に写真を撮影している時は急いでいたので、
ロゴについては後で写真を拡大して調べようと思うくらいで
それほど気にしていなかったのですが、2019年は猪年ですから縁起がいいお品物ですね(^-^)
このパリュールの中央にセットされているカメオブローチのモチーフは面白いです、
クピドが籠の中に閉じ込められて格子を掴んでいて、
右側の女性がもう一人のクピドの羽を掴んで左側の二人の女性に見せています。
このモチーフは一体何なのでしょう?
(垂れ下がる部分のカメオが割れていますが、
マラカイトのアンティークカメオとして通常のコンディションになります)
ブローチサイズ 7.1cm×4cm
実は、これは古代ローマのポンペイの有名な壁画、
「クピド売りの女性」です、
籠に入れたクピドを売る女性というのは何とも可愛くてチャーミングなモチーフだと思いますし、
古代ローマ人の想像力が感じられて楽しいです、
クピドはラブトークンとして愛する人への贈り物として売っていたのでしょうか、、、
「今日は是非このクピドを奥様にご覧に入れたくて、、、」などの会話が聞こえてきそうですね。
ポンペイへは以前訪れたことがありますが、古代ローマの雰囲気がそのまま残っていて
何度でも行きたいくらい素敵な場所でした。
The Cupid Seller
Joseph-Marie Vien
1763年
ルーブル美術館
このとても可愛いモチーフは後の年代で絵画の題材にもなっています。
クピドの羽をキュッと掴んでいるのが可愛いです(^-^)
Love Fleeing Slavery
Joseph-Marie Vien
1789年
オーギュスタン美術館
こちらは、ポンペイの壁画からアイデアを膨らませた画家オリジナルの作品のようですね、
せっかくクピド売りから購入したクピドが逃げてしまっているのか、
もしくは仕入れたばかりのクピドが逃げてしまったのか、、、
色々想像できて面白いですし、時を超えても人の心を魅了する本当に可愛い題材です。
裏面
ヘッドピースです。
マラカイトのグリーンと、カラーゴールドの細工の組み合わせは本当に美しいです、、、。
古典神話がモチーフになっているカメオですが、
必ずしも古代神話に忠実な訳ではなく、少しオリジナルの自由な発想も混ざっています、
これはネオクラシカルスタイルの作品にはよく見られます。
神話を自由な発想で捉えて、
一つ一つのカメオに物語性があるようで、箱を開けて眺めていると絵巻のように楽しいお品物です。
カメオは写真ですと、どうしても平面に見えてしまいますが、
実物は立体的な彫りで美しいです。
素晴らしいカラーゴールドの細工とマラカイトのカメオの相性はとても良いと思います。
ティアラの裏面には大きなピンがついておりますが、
オリジナルの金具ではないと思います。
頭に乗せるための金具も職人に依頼して制作できます。
ヘッドピース サイズ 14.6cm×4.9cm
大きなカメオをつないだネックレス、さりげなく身につけるというお品物ではございませんが、
お洋服とコーディネートをして身につけるとお洒落でとても素敵です。
このパリュールには全部で23個の想像力豊かな絵巻のようなカメオがセットされていますが、
その中の一部をご紹介いたします。
エロス を乗せた二匹のスフィンクスが車を引いています、
スフィンクスも手前が女性、奥が男性のようで、
細かな彫り分けの差など見ていても面白いです。
馬の下には雲が彫り込まれいます、この輝かしい感じはアポロン神かも、、、
こちらはテュルソスを持って馬車に乗るディオニソスでしょうか、
ディオニソスですから、聖獣であるヒョウが馬車を引いています。
実物はすごく立体的な彫りです。
パーンが荷台を引いています、
荷台に乗っているのはワイン好きのシレノスでしょう、
シレノスはいつも酔っているので、こうして荷台を引いてもらっていることが多いです。
パリュールに使われている大きめのカメオを5つご紹介いたしましたが、
あと4つ物語性のあるカメオがございますので、
気になる方は是非、お問い合わせくださいませ(^-^)
クラスプにもカメオがセットされています。
エロスと二匹のドルフィンの組み合わせ、
小さなカメオで可愛いですね。
ネックレス サイズ 41cm
中央のカメオ サイズ 3.2cm×3.8cm
ピアスは小さなエロス がモチーフになっています。
一生懸命何かの作業?をしているような構図です。
後ろから耳穴に通してカチッと嵌めるタイプのピアスです。
ピアス サイズ 2.2cm×1.7cm
参考資料
この素晴らしいマラカイトのパリュールはスウェーデンのソフィア王妃が所有していたものです。
今回のパリュールと同年代に制作されたお品物で、マラカイトのカメオが優れた金細工に留められています。
ネオクラシカルスタイルで神話がモチーフになっています。
現在は大きなピンがついておりますが、
頭にセットする為の金具も作ることができます。
グリーン系や白などのワンピースとも相性が良さそうなジュエリーです。
そっと箱を開けて、どのジュエリーを受けようかな?と考えるのも贅沢な時間ですね、
バラバラで身につけてもいいですし、組み合わせて一緒につけても素敵です、
宝物のようなパリュールでお洒落をするのは楽しいと思います。
実物をご覧に入れることも出来ますので
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせくださいませ(^-^)