12世紀 テヴェレ川のガーネットリング
この12世紀という一際古い中世のガーネットのリングはなんと発見された場所が分かっています!発見場所がローマのテヴェレ川、発見場所が分かる古いジュエリーはさらに夢が広がるのが素晴らしいですね、テヴェレ川は古代ローマ皇帝ティベリウスの名前の由来になった等の話やローマの創設者ロムルス・レムスがこの川に流された等の伝説のある川です(^-^)
このリングがテヴェレ川の中で数百年もひっそりと眠っていて、こうして21世紀に発見されるのは奇跡的な物語のような出来事だと思いませんか?この指輪がどのような経緯で川に落ちたのか、想像するといろいろな物語が思い浮かびます、、、。
そして、川で発見された指輪の魅力の一つには独特の経年変化があります、長い間、水に優しく磨かれた金の表面はすべらかで優しい、どこか繊細な雰囲気になるのです、、数百年間も朽ちずにいられる金という素材の面白さ、奥深さを感じます!
嵌められているカボッションガーネットは色が薄くほぼピンク色をしていますが、水に磨かれた優しい金のパティナとよく合う繊細な色合いです、、、。
平らなフープには幾何学的装飾が施されています、フープとベゼルの接合部の装飾も確認できます。中世のリングとしてはとても素晴らしい例外的な状態を保っています、大抵は潰れて壊れていることが殆どですからね(^-^)
この指輪は例外的に古い12世紀という年代なのですが、それについて説明致します。
大きさはこのくらいです、サイズは13号。サイズ変更は貴重な古い指輪なのでしない方が良いです、でも13号だから、沢山の人に嵌めて頂けるサイズだと思います。
このような円錐型のリングは12世紀の前半に登場し、13世紀半ばまでヨーロッパで見られる一般的なゴシックタイプのリングです。
このリングと比較出来る物の大半はイギリス、フランス、ドイツのもの。
例として、ウスターから埋蔵されたラークヒルで、指輪が7つ(銀製の物が6つ、銅製の物が一つ)見つかっています、これらはヘンリー二世の統治時代(1154年〜1189年)のイングランドの硬貨などの資料と合わせて1173年〜1174年に作成された事が分かっていますが、このように細かな年代が特定出来る事は非常に珍しいのです。
考古学的な状況に基づく年代測定が可能な同様のリングについてです。
ダラム司教ラヌルフ・フラムバード (1099-1128年) の持ち物であったものが最古の例、そして四角形の角が切り取られたベゼルに小さなルビーがついた2つのゴールドリング (ベルギーハッセルト州より、12世紀前半) も同様、ドイツ・トーリア大司教、モントルイユのアルベロの墓から見つかった長方形のベゼルとサファイアがついたリング (1131-52年)、同様のプロポーションに花のモチーフが掘りこまれたトーリア司教、ヴァレンクールのアーノルド1世の墓から見つかったリング (1131-52年)、そして最後にカンタベリー大司教、ヒューバート・ウォルター (-1205年) の墓から見つかったグリーンのプラズマカボションのリングセットがあります。
また、他の琥珀の四角形リングはブレーメンの聖ペトリ大聖堂の墓から見つかり、およそ12世紀後半ごろのものであるとされています。装飾が施されていない楕円形のベゼルのリングが、同じ大聖堂の墓から見つかっており、1200年ごろのものであるとされています。
ベゼル裏は滑らかです。
そして、12世紀から13世紀初期のキエフ・ジュエリーは円錐状のデザインが当時よくあったことを示しています。宝石のついたテンプル騎士団のペンダントはサイドがへこんだ八角形のデザインです (おそらく12世紀頃)。 非常によく似ているデザインが、おそらく12世紀もしくは13世紀初期のネックレスの3つのエナメルメダリオンからも見つかっています 。
フープ裏。