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ヒストリカルジュエリー ヴィクトリア女王から歌姫マリエッタ・ピッコロミーニへの贈り物 



大英帝国を象徴するヴィクトリア女王に由来し、
11世紀〜12世紀から続くイタリアの貴族が所有してきた
歴史的な面白さに富んだ大変価値のある美しいヒストリカルジュエリーをご紹介致します。



左 マリエッタ・ピッコロミーニ (Maria Piccolomini 1834年〜1899年)
右 ヴィクトリア女王

1856年、ヴィクトリア女王は、
ヴィクトリア女王の劇場(Her Majesty's Theatre)で
ラ・トラヴィアータ(椿姫)をご覧になりました。

その時のヴィオレッタを演じていたのが、
イタリア貴族のピッコロミーニ家出身の22歳のマリエッタ・ピッコロミーニ。
ピッコロミーニ家は11世紀後期から続く大変古い家柄です。

彼女はラ・トラヴィアータのヴィオレッタ役として最も有名なソプラノ歌手でもありました。

マリエッタの類いまれなる歌声の美しさに心打たれたヴィクトリア女王は、
特別にジュエリーを作らせてマリエッタに贈りました。

今回ご紹介するジュエリーはマリエッタの子孫に代々引き継がれた
希少で夢溢れるジュエリーなのです。







箱を開けると、ダイヤモンドで飾られた鳩と、ガーネットのハートロケットがついた
サンテスプリのようなデザインの愛らしいジュエリーが収められています。

女王の贈り物だけあり、ダイヤモンドとガーネットは本当に素晴らしいクオリティで
ダイヤモンドのダイナミックな燦然たる煌めき、
ガーネットの厚みと透明感、中にワインが注がれているような
みずみずしく深く明るい赤紫色に驚くばかりです。



オリジナルボックスには王冠のマークが記されており、
このペンダントを作ったPHILLIPSは、王族をはじめ、
他の貴族を顧客に持っていたジュエラーであることを示しています。



女王が心を込めて特別にこのジュエリーを贈った、ということが
ジュエリーの端々から伝わってくるデザインですので、ご説明を致します。



ラ・トラヴィアータは愛のオペラですから、
まず、愛のシンボルである鳩がモチーフに選ばれているのでしょう、

そして、鳩がくわえているガーネットのハートロケットには、
このロケットが女王がオペラを見て感動した心そのものであることを示す
貴重なものが納められています。



女王の心を示すものとは、裏面のロケットの中に入っている薄茶色の髪。

王族は、特別に何かをした寵臣や貴族達へ感謝の気持ちを表して髪を授けることがあり、
状況からいってこの髪の毛はヴィクトリア女王のもの、と考えて良いでしょう。

また、もし、髪の毛が何らかの理由で取り替えられていた場合でも、
このペンダントの価値は変わりません、

それは、髪を入れるためのロケットがついていますので、
元から髪が入れられていたことは確実なのですが、
髪が100パーセント女王のものかどうかを確認する為には
DNA検査をしなくてはなりません、

現実的にそれは不可能ですので、
アンティークにおいて、髪の毛の主に関しては、
あくまでも可能性があるものとしてロマンを楽しむものになります。

愛の鳩が飛来し、ハートに触れているデザイン、、、

それは、愛の鳩 = 愛のオペラ、ラ・トラヴィアータのマリエッタの歌声、
そして、髪入りのハートロケット = 女王の感動する心 ですから、

このデザインは形だけの贈り物ではなく、心からマリエッタの歌声を評価し、
歌声が女王の心に届いた、という意味を持っているのです。

そして、これはマリエッタがピッコロミーニ家出身であったことも
関係していると思います、

もし、マリエッタが大変古い家柄の貴族ではなかったとしたら、
女王は歌声には心揺さぶられたものの、
ここまでの心を込めた髪入りのジュエリーは贈られなかったかもしれません。



女王のハートロケットの蓋には、
美しい文字でイタリア語のメッセージが刻まれています、

イタリア語ですから、
女王からマリエッタへの優しい気遣いが感じられるのも美しいポイントです。

本文 Ricordo della sua comparsa al teatro di S.M. (S.M = Sua Maesta)

英訳 I remember her appearance at the theater of Her Majesty

Ricordo = I remember ですので

「私」という一人称が含まれており、
女王が自らの気持ちを話している、ということをはっきり示していますので
このジュエリーにおいて最も重要なポイントになります。

Ricordoの動詞はRicordareとなり、

Ricordare = Remember です。

Ricordare  の語源はラテン語です、
古のラテン人は記憶する場所は脳ではなく心と思っていましたので、
この Ricordare  の中には cor  というラテン語で 心 を示す言葉が入っています。

特に COR = heart  は、女王の心を表したハート型のロケット、
ということで、二重の意味にもなり、
おそらく意識的に Ricordare  という単語を選んだ可能性があります。

そして、ロケットの側面を囲むように、

A Maria Piccolomini Londra 1856  と刻まれています。

形だけで贈られたものではなく、
ヴィクトリア女王の私的な感情が込められた、
美しいヒストリカルジュエリーなのです。





込められた感情も美しいですが、ジュエリー自体の作りも大変素晴らしいです。

立体的な造形の鳩の目にはルビー、
くちばしを含み体の隅々までダイヤモンドが散りばめられていますが、
さすが女王の贈り物と思わせる
素晴らしいクオリティのダイヤモンドが使われており、
大きなダイヤも小さなダイヤも大変よく輝き、
溢れんばかりに美しいです。

鳩がモチーフですから、
輝くダイヤモンドと相まってサンテスプリのような神々しさも感じます。



このように、バチカン、鳩、ハートロケットはそれぞれ取り外しができますので、
5通りで使えるようになっています。





鳩にはブローチピンがついていますので、
それぞれ、ペンダント、ブローチとして、装いに合わせてお使い頂けるのも良いですね。



お写真でも感じて頂けるかと思いますが、
ハート型のガーネットは圧倒的なクオリティ良さで、
見たこともないような美しく透明感のある赤紫色です、
厚みもあり、
手に持って動かすとホログラムのように石の中を光が走ります。



ペンダントに合わせて丁寧にパーツを繋ぎわせた太めのチェーンがついており、
クラスプの彫金も美しいです。



マリエッタ・ピッコロミーニ 1860年

このジュエリーは、つい最近までマリエッタが嫁いだガテアニ侯爵家の子孫に代々伝わり、
誰が所有していたかがわかる資料と、
当時、マリエッタがオペラを女王の前で演じたことを掲載した
新聞と一緒に保管されていました。





ジュエリーと一緒に保管されていた
1856年 5月31日の新聞  

マリエッタ・ピッコロミー二(新聞ではマリア・ピッコロミーニ)が
女王の劇場でラ・トラヴィアータのヴィオレッタ役を演じたことが書かれています。



こちらは、マリエッタの子孫の誰がジュエリーを所有していたかが記されている資料です。



メモを清書したもの



ピッコロミーニ家は11世紀後期から続く、本当に古く由緒ある貴族です。
中世の本の1ページにも既に紋章が登場しています。
(右上の濃紺の十字の紋章です)



マリエッタが嫁いだガテアニ公爵家の紋章
ガテアニ公爵家も12世紀から続く大変古い貴族です。

ヴィクトリア女王からの贈り物であり、
中世から続く貴族家が所有してきたジュエリー、
このようなジュエリーは全く市場には出てきませんが、
この度は、運良く仕入れることが出来ました。

このジュエリーは普段身につけなくても、
所有する深い楽しみがある本当の意味ので「宝物」だと思います。

オペラを鑑賞されて心打たれ、
ジュエリーを贈ること決めて準備させたヴィクトリア女王や、
この贈り物の箱を開けた瞬間のマリエッタの喜びなど、
想像するのが大変楽しいお品です、

古くから伝わる貴族家の子孫が代々所有してきたことも
ロマンがあって本当に素敵ですね。

アンティークジュエリー の楽しさを十分感じて頂ける価値あるお品物と思います。
 

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ヒストリカルジュエリー ヴィクトリア女王から歌姫マリエッタ・ピッコロミーニへの贈り物 

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国 名
イギリス
年 代
1856年
素 材
ダイヤモンド ルビー ガーネット 18k シルバー
サイズ
本体バチカン含む大きさ 7.2cm × 3.1cm チェーン 41.5cm 32.2g
コンディション
素晴らしいコンディションです。
作 者
PHILLIPS

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