古代の船とカノプス壺 インタリオ ブレスレット
古代ローマ時代から19世紀までのインタリオを連ねて繋いだブレスレット、
ここ数ヶ月の間に、古いインタリオを連ねた素晴らしいパリュールや、
ネックレスを扱うことが出来ましたので、
よく出てくるタイプの作品なの?と思われてしまうかもしれませんが、
全くの偶然で、本来はとても珍しい作品なので、こうして短期間に急に集まってきているのが面白く、
何か意味があるのかな?なんて思ってみたりしています。
このブレスレットに使われているインタリオが作られた年代は様々ですし、
それぞれに面白いインタリオが使われており、
モチーフを見比べて、いろいろな想像ができるのが楽しい作品ですね。
こうして時と空間を超えて、十二個の石が集って一つの作品になっているのはロマンがあります。
古代ローマ1世紀〜2世紀 古代のガレー船 ニコロ
このインタリオは、ブレスレットの中で一番面白く興味深いインタリオ、
ニコロと呼ばれる非加熱のオニキスが使われており、
黒と薄い青みがかったグレーっぽい2層の石になっているのが特徴です。
実は、このインタリオはと〜っても珍しいんです、それは、、、、
古代のガレー船がモチーフになっているのです、
当時、この船は貿易や軍用船で大活躍したもので、
船の両脇に多くの櫂を設置してあるのが大きな特徴です。
小回りがきいた為に、地形が複雑で風向きの安定しない地中海等では19世紀まで活躍していました、
ノアの箱舟のインタリオは見たことがありましたが、
ガレー船がモチーフのインタリオは初めて扱いましたし、
当時の航海が想像できるようでダイナミックですね。
このインタリオは、ガレー船に乗る人の無事を祈ったり、
ガレー船のオーナーが作らせたのかもしれないですね、
このように、どんな人が作らせたインタリオかを想像するのもとても面白いですし、
約2000年も昔の小さな作品がこうして時を超えて残っていることに感動します。
その他のインタリオもご紹介致します。
18世紀 マルスとヴィクトリー コーネリアン
1830年〜1840年頃 カタツムリにのるキューピッド レッドコーネリアン
恐らく18世紀 イスラムのカリグラフィーのインタリオ イエローカルセドニー
恐らく17世紀 躍動する鹿のカメオ ベージュカルセドニー
このブレスレットはインタリオに加えて面白い石が使われています。
カボッションのスモーキークオーツで、
石の中に面白いヒビが入っていることに加えて(面には出ていないので強度は問題ありません)、
自然のインクルージョンで虹のような色合いが出ており味わい深い石です。
18世紀 ヒゲの男 レッドコーネリアン
ざっくりとした彫りのインタリオ、肩や胸元の流れるような表現が面白いですね。
古代ローマ 1世紀 牛と木 コーネリアン (木の一部が欠けています)
18世紀後期 男性の横顔 ベージュカルセドニー
古代ローマ1世紀 イルカ コーネリアン
写真ではよくわかりませんが、小さなイルカのインタリオです。
まろやかに磨耗をしており、よく見ないとモチーフが何かわかりませんがイルカです(笑)
古代エジプト・ローマ 1世紀
そして、このインタリオ、
なんと、古代エジプトのカノープス壺がモチーフに選ばれており、
もう二度と出会うことのないインタリオといってもよいほどの希少性があります。
インタリオの資料は沢山見てきましたが、初めて見るモチーフで驚いています。
カノープス壺とは、、、
古代エジプトにおいてミイラを作る時に、魂が宿ると考えられていた心臓を除き、
重要と考えられていた他の臓器を納めていた壺です。
左から、、、
ケベフセヌエフ 腸を守る神
ハピ 肺を守る神
ドゥアムトエフ 胃を守る神
イムセティ 肝臓を守る神
、、、とされています。
古代エジプトでは脳があまり重要視されていなかったのも面白いですね。
使われているのは恐らく18世紀のインタリオでしょう。
イスラムのデザインでオレンジコーネリアンが使われています。
素肌の上につけても、洋服の上からつけても素敵です。
インタリオを連ねたジュエリーというのは、石一つ一つの彫りの美しさがさりげなく
感じられて、同時に生き生きとしており、雰囲気がとても良いジュエリーです。