dame d’honneur ラジェ-ブクシエール子爵夫人のリング
フランスの華麗な歴史の一部を宿した
ヒストリカルジュエリーの宝物です。
幸運にも美しいオリジナルボックスも
残っていてくれました。
ヒストリカルジュエリーは
過去の歴史が立体となって現れるような面白さがあり、
時を超えてアンティークジュエリーが現代に残っているということを
より強く実感することができる、
宝石を使ったジュエリーとはまた違った美しさがある
ものなのです。
美しいボックスの中にはミニアチュールリングが収められています。
このリングはスイベル式になっており、
両面にミニアチュールが収められています。
このミニアチュールは、
男性がヨーゼフ2世、
女性は母君のマリア・テレジア皇后です。
マリア・テレジアは喪服をまとっており、
夫君のフランツ1世が天に召された後に描かれた
細密画であることがわかります。
ヨーゼフ2世はマリーアントワネットの兄君ですが、
こうして肖像画を並べるととてもよく似ていますね。
このリングのオリジナルボックスには古いメモが入っており、、、、
この古いメモは、ピエール デペルノンという人物によって書かれており、
ピエールの祖母であったラジェ-ブクシエール子爵夫人が
ダムドナーの一人で、マリア・テレジアに本を読んでいた人物であったことが
記されています。
ダムドナーとは、マリア・テレジアのような
特別に位の高い女性の側に使えて日々の生活を共にし、
親しい友人でもあった特別な女性のことで、
女官長などにあたります。
マリーアントワネット王妃の場合では、ランバル公爵夫人や
ポリニャック公爵夫人らがダムドナーです。
このリングは
マリア・テレジアによく仕えてくれたラジェ-ブクシエール子爵夫人へ、
マリア・テレジアの死後、ヨーゼフ2世が感謝の印に
特別に作らせて贈ったリングなのです。
ラジェ-ブクシエール子爵夫人は、
姉妹であるラ バージ公爵夫人に、このリングを渡して、
自分の死後に、孫であるピエールに、このリングを渡すように
伝えていたと記されています。
このような希少なリングは美術館に資料として
残っていても、全くおかしくはない
貴重なヒストリカルジュエリーなのです。
リングの作りも、大変素晴らしいもので
美しい装飾が施されています。
片面には、マリア・テレジア皇后を、
もう片面には、このリングの送り主である自分のミニアチュールを描かせて
感謝の気持ちを表したのです。
そして、このシャンクの装飾を是非ご覧ください。
人面装飾マスカロンをモチーフにした
今までに見たことがないタイプの華麗なデザインのシャンクで、
立体感に優れており大変美しいです、
この指輪は金が多く使われており、ずっしりと重く、
デザインも作りも
あらゆる意味で例外的に作られた
特別なリングということが
強く伝わってくるのです。
リングはこのように回転致します。
着け心地も大変滑らかで指辺りがソフトです。
通常身につけて楽しむというよりは
18世紀フランスの歴史や
宮廷に仕えていた女性に思いを馳せながら
そっと愛でながら静かに時を楽しむような
貴重な宝物のリングなのです。