1480年頃 聖母マリア & 塔の美少女 聖バルバラ 両面ペンダント
15世紀のとても古くて希少なシルバーギルトのペンダント。
両面にざっくりした彫りが施されています。
周囲に縁飾りがあるのが表面で聖母マリアと幼子イエス、二人の天使が彫り込まれ
船に乗っている構図です。
聖母マリアの頭上にある文字は古いフランス語で
DU BONHUという文字と、少し解りにくいのですが
文字の最後に♡マークも彫り込まれています。
これは幸せを祈る言葉、
このペンダントがお守りとして身につけられていたことがわかります。
裏面には聖バルバラが彫られています。
彼女は3世紀頃に生きていた人物でしたが、
大変な美少女であった為に、彼女に求婚をする男性が後をたたず、
非キリスト教徒のバルバラの父により、男性達から遠ざける為に塔に幽閉をされます。
塔の中で彼女はキリスト教に目覚めますが、
彼女の父はキリスト教を許さず改宗を迫ります、
彼女は改宗を受け入れなかった為に体を炎で焼かれる拷問を受けますが、
剣によって殉教しました。
このペンダントにも塔が彫り込まれているのは
それが彼女を表すアトリビュートだからです。
悲しい話ですが、今日まで語り継がれているキリスト教の聖人達の殆どは
このような苦境にあっても純粋な信仰心を忘れずに貫いた為に、
無残な死を迎えた人物が多いのです。
後に彼らは強い信仰心を持っていた人物として
後のキリスト教徒達を守る守護聖人となるのです。
ご紹介をしている作品と類似の作品をご紹介致します。
今回ご紹介しているものよりも少し年代の新しいものになり、両方とも16世紀の作品です。
上段 左 聖母マリアと幼子、右側 聖カタリナ、
下段 左 聖母マリアと幼子 右側 聖バルバラ
持ち主の名前と守護聖人の名は一致しますので、
このペンダントのオリジナルの
持ち主はそれぞれ、カタリナとバルバラでしょう。
このペンダントのざっくりとした独特の彫りは
同年代に作られたイコノグラフィックリングと呼ばれる指輪にも
同じ特徴を持った彫りとして現れています。
これらは以前扱った作品です。
ペンダントとして身につけられますが、
希少な中世の美術品としても楽しんでいただけるジュエリーです。
作品動画