聖ヴェロニクのエナメルブローチ 百合の紋章
1870年〜1880年頃の可愛いエナメルのミニブローチ。
赤色のエナメルは作るのがとても難しいので、
赤いエナメルを使ったジュエリーはあまり見つけることができません。
上下四方には合計6個のフランス王室の百合の紋章の装飾が施されていて、
ダイヤモンドで飾られており、小さな作品としては珍しい装飾です。
青色の4枚の花びらを持つ花は、恐らくイヌノフグリかなと思うのですが、
もしそうであれば、フランス語ではヴェロニクと呼ばれる小さな花です。
これほどの小さなジュエリーに
赤色のエナメルや百合の紋章が丁寧に施されているのは珍しいですし、
花にも何か意味があるのかなと思うのですが、
もしこの花がヴェロニクの場合は、
このブローチの持ち主の名前は恐らくヴェロニクでしょう。
イエス・キリストの顔の血を拭ったとされる聖女はヴェロニクという名前ですが、
自身の名前がヴェロニクの場合は、同じ名前を持つ聖人が
その方の守護聖人になりますから、
聖ヴェロニクの加護を祈って作られた
ヴェロニクという名の若い貴族女性の為の可愛いブローチなのかもしれません。