新王国時代 古代エジプト コーネリアン リング
新王国時代の古代エジプトのリングです、
古代エジプトではファイアンス(焼き物)で出来たリングが多く作られていたので、
このようにコーネリアンを丸ごとくり抜いて作ったものはとても希少です。
指にはめると、ところどころ肌が透けて見えるほど透明感のあるコーネリアンが使われ、
石の中に色の濃淡がふわりと浮かび上がる美しい表情の石です。
石の表面は滑らかに磨かれ、しっとりとした優しい肌触りで
いつまでも触っていたくなるような心地よさを感じます。
細長い楕円形のベゼルの表面に彫られているのは、
魔除けの意味や、再生を表すウジャトの目が左右に二つ、
その間の細い三味線のようなマークは美を表すネフェルです、
彫りは深くはなくサラッとした浅い彫りです、彫りは石に馴染むようであまり目立ないのですが、
時折光を反射した時にくっきりと浮かび上がり、その瞬間がとても神秘的です。
古代エジプトの割れてしまったコーネリアン製のリングの破片が美術館に収蔵されていたりしますが、
このリングは欠けやヒビのない完璧なコンディションを奇跡的に保っています。
このようなコーネリアンを丸ごとくり抜いたリングは、王の名前を記したものがルーブル美術館にも収蔵されており、
クリスティーズでも2点ほど類似のリングが出品されています。
コーネリアンの指輪を身につけられるのは当時でも位の高い限られた層であったことがわかります。
左・中央 クリスティーズ出品作品
右 ルーブル美術館収蔵
浅く彫られたウジャットの目が左右に二つ、目の間には美を表すネフェルが彫られています。
光を反射すると彫りが浮かび上がります。
シンプルなデザインで、柔らかく磨かれたコーネリアンが肌にしっとり馴染みます、
透明感のあるコーネリアンは石の中に浮かびあがる濃淡がとても美しく
傍に置くと澄んだ存在感のある古の宝物です。