17世紀 エナメル時計
今から約300年以上も前に作られた17世紀の手巻き時計をご紹介いたします、
17世紀はフランスでは太陽王ルイ14世とマントノン侯爵夫人の極秘結婚が行われた頃、、、
もしかしたら二人も秘密の待ち合わせ?!にこんな時計を使っていたかもしれませんね、
現在まで大切にされ美しいコンディションで残ってくれていた
大変希少な時計です、本当に素晴らしいアンティークオブジェだと思います。
年間800万人が訪れるルーブル美術館にも、これと全く同じタイプの時計が収蔵されており、
このページの下の方に美術館に展示されている写真を掲載していますので、是非ご覧下さい。
こんもりと丸いフォルムは手のひらにすっぽりと収まります、
時計は細かなパーツで構成されている為に壊れやすく、壊れてしまうと動かなくなるデリケートなものです、
(と、言っても思いっきり落としたりしなければ大丈夫です(^-^))
特にこれ程年代の古いアンティーク時計は一度壊れてしまうと修理ができないのですが、
この時計は今でも問題なく動く驚異的なオリジナルコンディションを保っており、
ネジで巻くと、カチコチカチコチと、音が近くなったり遠くなったり、早くなったり遅くなったりしながら、
実に素晴しい音色を聞くことができます。
いつまでも聴いていたくなるような心に響く音色は、この時計に命が宿っているようで、
まるで生き物を手の平に乗せているような錯覚を覚えます。
機械でできているのに、不思議と暖かみが伝わってくるのです。。。
文字盤は歯のような形の枠にエナメルで数字を書いており、面白みのあるデザインですし、
時、分、秒がわかるようになっているのも珍しいです、時しかわからないようになっている
文字盤もあるので、この時計はとても丁寧に作られているのです。
ガラスの蓋は開くようになっており、文字盤の鍵穴にネジを巻く為の鍵を差し込んで回せば
時計が動き出します。
文字盤の脇には突起状のボタンがあり、このボタンを押しながら文字盤を上に開けると
文字盤が開き、、、
この時計で最も美しい機械の部分が顔を覗かせます。
イルカや鳥、花、コルヌコピアが手彫りで彫られた機械部分とは思えない美しい装飾です。
隠れた部分へ最も手間をかけた贅沢な品はアンティークらしい魅力、ロマンに溢れています。
機械の淵に沿って下記の美しい文字が流れるように彫り込まれていますが、
Yver le fils
Angoulesme(Angoulême)
Yver le fils は、この時計を作った時計職人の名前です。
le fils というのは、Yverの息子という意味で
親子で時計職人だったことを表しています。 それと、Angoulesme (Angoulême) は地名で、
当時の (Angoulême) は 現在のAngoulemeです。
呼び名が現在と違うところからも時代の流れが感じられるのも面白いですね。
通常、時計はパリ、リヨン、ルーアンなどの大都市で作られ、その地名が刻まれましたが、 Angoulesme (現在はAngoulême) は小さな都市なので、そういった意味でもとても珍しいです。
多分17世紀のこのタイプの時計で、この地名が刻まれているものは、
もしかしたらこの時計しか残っていないかも、、というくらいの珍しさだと思います。
さらに内部のぜんまいの動力を用いた機械部分の作りもとても美しいので、
是非、下記の拡大写真をご覧ください。
ネジを巻いた後に、風に揺れるタンポポの綿毛のように、
小さなパーツが静かにフルフルと震えるように動き出します、
硬い金属であるのに空気感を感じさせ、それぞれのパーツが生きているようで感動します。
〜1550年〜1650年の間に作られた懐中時計の仕組み〜
裏面には木々とリスと犬と建物の彫金が施され、とても可愛い装飾です。
手のひらに乗せて大切に使われていたため、裏面が満遍なく磨耗しています。
磨耗の跡は、この時計が確かに愛されて大切に使われてきたということが感じられる
魅力的な痕跡なのです。
ルーブル美術館にも同じタイプの時計が収蔵されています。
17世紀の時計で今も動くものは非常に稀です、美術館にある時計が動くかどうかはわからないのですが、
今回ご紹介をしてる時計は全てオリジナルのコンディションを保ち、動きます。
17世紀の希少な古い時計を自分の手にとって、ネジを巻いたり、蓋を開けて中の機械を見たり、
オリジナルの持ち主も聞いたであろう、時計を音を自由に聞くことができるのは
この時計を所有する大きな喜びだと思います。
まさに宝物といえる時計で、価格以上の価値がある作品です。
動画も是非、ご覧ください。