古代美術 古代ローマ2〜3世紀 戦車競争のインタリオ リング
古代ギリシャ人、古代ローマ人が熱中した戦車競争の熱気を感じることのできる
大変面白いモチーフのインタリオです。
古代のインタリオにはいろいろなモチーフがありますが、
特に古代人の生活をはっきりと感じることのできるインタリオが面白く、
とても強く惹かれます。
戦車競争は今でいうF1レースや競馬のような位置づけで、
とても人気があり、お金のかかるスポーツでした。
また同時に大変危険でもあり、カーブを曲がりきれずに戦車から落ちてしまったり、
柱に激突したり、他の選手に故意に体当たりされて、戦車が壊されたりといったこともありました。
馬車に乗る者は、オーナー、もしくはオーナーの奴隷であり、勝者には賞金と賞品が与えられ、
奴隷の場合は、賞金を手にすることで自由の身になれることもありました。
現代の競馬のようにどの馬車が一番速くゴールするかを当てるギャンブルも人気があり、
多くの富を築く者もいたのです。
多くの人々を熱狂させた戦車競争は、ローマ皇帝であるネロまでもが、競争に夢中になるあまりに、
自らレースに参加してします。
インタリオのモチーフは二頭馬車を引く勝利の女神ニケでしょう。
勝利の月桂樹の冠とヤシの葉を手にしています。
おそらく、このインタリオは、戦車競争で勝利をした者が女神への感謝の気持ちを込めて
奉納するために作らせたか、戦車競争での勝利を祈って作らせたかのどちらかだと思われます。
使われている石はブラウンカルセドニー、濃淡のある色合いがとても良い雰囲気で、
ざっくりとした彫りが躍動感に優れています。
身につけると、古代ローマ時代の戦車競争の熱狂と、千数百年を経て、それらが過ぎ去った
静けさの両方を感じさせる熱く静かな指輪です。
作品動画