オリーブ色のクリソベリル ダイヤモンド リング
豊かなオリーブの実を思わせる、大粒のクリソベリルのダイヤモンドリング。
クリソベリルは通常は小さな石であることが殆どなので、
このように大粒の石はとても珍しいです。
1890年頃の作品ですが、オールドカットの質の良い輝くダイヤモンドが周りにセットされ、
プラチナセッティングの大変作りの良いしっかりした指輪に仕立てられています。
クリソベリルは石の色味が薄いものが多い為、寂しい印象になりがちで
現代ではあまりジュエリーに仕立てられることのない石ですが、
この石の色はとても深いオリーブ色なので、
希少で高価な石として扱われたことを感じさせる作りの指輪です。
クリソベリルは18世紀のポルトガルのアンティークジュエリーに多く見られる
石ですが、それ以外の年代では、あまり見られることはありません。
左 ポルトガルの18世紀の地図
右 クリソベリルを使ったポルトガルの18世紀のアンティークジュエリー
何故ポルトガルでクリソベリルのジュエリーが多く作られたのかですが、
それは、隣国のスペインはエメラルドの産地、コロンビアを植民地としていた為に、
美しいエメラルドを使った夜会用の華麗なジュエリーを作ることができましたが、
ポルトガルではエメラルドをあまり手に入れることができなかったので、
エメラルドに代わるような石を探したところ、ブラジルで淡い黄緑の石を発見し、
ギリシャ語で金を意味するクリソスを使って、石の名前をクリソベリルと名付け、
美しいジュエリーを作ったからです。
その為、18世紀のポルトガルの貴族が身につけたジュエリーには、
クリソベリルを使ったものが多く見られます。

側面から見ても、ベゼル脇の透かしの仕事がとても綺麗です。

作品動画