古代美術 エトルリア紀元前1世紀 ブロンズ像 ヘラクレス Hercules bibax
希少なエトルリア時代、紀元前1世紀頃のブロンズの小さなヘラクレス像。
古代の英雄ヘラクレスの立ち姿が細かな描写で表現されています。経年変化により、濃淡のある美しい緑がかった黒色のブロンズになっています。
エトルリア美術は古代世界において最も独自な美術様式の一つです、エトルリア人は他国の美術、文化に影響を受け、それを生かして独自の美的感覚に従った作 品を残しており、このヘラクレス像にもそれが現れています。エトルリア人にとってヘラクレスは自分達の文化から生まれた英雄ではありませんから、そのモ チーフを彼らの感性で昇華させたことがうかがえる仕上がりです、通常、ヘラクレスは逞しく力強いものですが、エトルリア人の感性が反映し、このヘラクレス の顔立ちはどこか幼さを感じさせる優しいものになっています。
そして、このスタイルのヘラクレスは酒神バッカスとあわせて表現されており、手に酒杯を持っている場合もありますが、両手が失われているために、酒杯を持っていたのかどうか、、想像力がかきたてられます。
古代作品は、このヘラクレス像の四肢が失われているように、手や足、頭が失われていることが普通で、完全な姿を見ることが出来ない場合が多いです。しかし、それが逆に、想像力をかきたて作品をより神秘的なものにしているのです。
作品と対峙した時の自分自身の感性、感情、想像力が欠損部分へ反映されて、その人にしか見ることの出来ない姿を見せてくれることでしょう。
想像をすることで、この像と、像を見る者の距離は時空を超えて縮まり、欠損が美を奥深いものにしてくれるのです。
この像は優しい顔立ちとは対照的にどの角度から見ても筋肉質な体をしています。左肩に巻き付くように掛けているのはネメアの獅子の毛皮、この毛皮の装飾も繊細で美しいです。
このような古代の像が一つあるだけでその場の雰囲気が大きく変わります、まるでこの像が案内人であるかのように、いにしえの神秘世界へと誘われることでしょう。
小さな像ですから、デスクに飾ってもとても素敵です。
それでは細かな全体像と資料をご覧下さい。
ルーブル美術館所蔵 類似品。
Anne-Marie Adam, Bronzes ?trusques et italiques, Biblioth?que Nationale, 1984, n° 304. より。
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全体像。
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