古代美術 紀元前1世紀 ヘレニズム 大理石頭部像 アレクサンダーアモンに扮した戦士(?)
紀元前1世紀頃のヘレニズムの若い戦士の大理石頭部像です。
正面からは摩耗してよくわかりませんが、頭には角の生えた兜を被り、額からこめかみ、頬、顎へと続く独特の防具を身につけています。この角の生えた兜はお そらく、アレクサンダー大王がエジプトを統治した時に、角のあるアモン神としてあがめられた時のアレクサンダーアモンに扮したもので、相手に恐怖を与え、 自らを鼓舞するための防具でもあったのかもしれません。
時の流れによる摩耗で、勇ましかった筈の戦士の顔立ちは穏やかなものに変わり、今は古の戦士の顔立ちをそこはかとなく想像させるのみになっています。
素晴らしい経年変化で、数千年の時を経た大理石頭部像としての迫力あるたたずまいを感じます。
類似の作品がMusée de l'Arles antiqueに収蔵されています。
古代の頭部像はこのように鼻が欠けているのは普通です。
全体に表面は滑らかな手触りで、数千年に渡って様々な人達が触れてきたことを想像させます。
顔周りを守る防具の形が独特です。
頭頂部。
正面からは見えないのですが、角の装飾が上からだとよくわかります。
頭頂部。
裏面。
右はクリスティーズ出品作品です。
この右側の作品が、Musée de l'Arles antiqueに収蔵されています。