15世紀 塔の美少女 聖バルバラ ゴールドリング
キリスト教徒を見守る聖人達にはアトリビュートと呼ばれる、その聖人を象徴するものが通常一緒に表現されます。私達はそれによって、その聖人が一体誰であ るのかを知ることが出来るのです。アトリビュートは、生前、その聖人の身に一体何が起こったのか?を象徴する大変興味深いものなのです。
このリングは15世紀頃の大変希少なゴールドリング、ところどころにオリジナルのホワイトエナメルが残った美しい作品です。ベゼルに彫られたモチーフは3世紀頃の聖人の一人、塔に幽閉された美少女、聖バルバラです。
何故彼女が塔に幽閉されたかというと、キリスト教を受け入れない彼女の父親が、バルバラのあまりの美しさに求婚をしてくる男性達からバルバラを遠ざける為 に塔を作り、彼女を塔に閉じ込めてしまいます、塔の中でバルバラはキリスト教に目覚めてしまい、塔の中に3つの窓を作りました、キリスト教で3という数字 は、父と子と精霊を現します。
バルバラがキリスト教に目覚めたことを知ったバルバラの父親は、残酷にもバルバラを拷問にかけて改宗をせまります、バルバラは死よりも神への信仰を選び命を落としてしまいますが、父親自身も直後に雷に撃たれて死んでしまったと言われています。
とても悲しい話ですが、殆どの聖人達は拷問等の苦境の中でも、純粋で強い信仰心を捨てずに結果として命を落とした人物が多いです、故に彼らは聖人として崇められ、後に他のキリスト教徒達を見守る存在になるのです。
例えば、聖バルバラは、他のバルバラという名前を持つ女性の守護聖人となります。
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制作されてから約500年経つリングのモチーフが聖バルバラであるとわかるのはアトリビュートのおかげです。
この写真でいうと、上部のブロックのような部分がバルバラが閉じ込められた塔の一部です。中央には聖バルバラ、下部には羽が描かれていますが、羽も聖バルバラのアトリビュートの一つです、他には、王冠、剣、稲妻、などもアトリビュートとしてあげられます。
聖バルバラは、同じバルバラという名前を持つ女性だけではなく、建築家、鉱夫、囚人の守護聖人でもあります。
ベゼル側面や、ベゼル上部にオリジナルのホワイトエナメルが残っています。
15世紀当時の美しさを感じることができる貴重なエナメルです。
聖人モチーフのリングは、両側から中央へ山のように尖ってせりあがっているデザインも見られますが、このリングはフラットなタイプです。とても身につけやすく、同時に現代的な美も感じるリングです。
側面。
ベゼル裏。
サイズ変更はしてはいけません。
聖バルバラ像
聖バルバラ像
聖バルバラ像
聖バルバラ
「聖バルバラ」ヤン ファン エイク作
ベルギー、 アントワープ王立美術館
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