古代美術 古代ローマ紀元前1世紀〜紀元後1世紀 インタリオ サティーフとサティホ
インタリオにはさまざまなモチーフがあり小さな石に刻まれた題材からは
古代神話の世界やローマ人の生活を想像することができます。
それ自体がとても魅力的ですが、このインタリオには特に珍しいモチーフが描かれています。
彫り込まれているのは、大人のサティーフと子供のサティーフであるサティホです。
非常に珍しい組み合わせで、とても興味深い作品です。
古代ローマでは、サティーフは森の精ファウヌスやパンと同一視される存在で、
子供のサティホとともに表現されることもありました。
しかし、インタリオにサティホが一緒に刻まれている例はほとんど見られません。
子供のサティホと大人のサティーフが並んで表現される意味は解明されていませんが、
持ち主にとって子供に関する大切な願いや意味が込められていたのかもしれません。
大人のサティーフが子供に何かを教えているようにも見える場面です。
サティーフは神々と違い、永遠の命を持たず、寿命があり老いて死ぬ存在でした。
その人間的な性質が、インタリオの中に温かみを添えています。
雰囲気のあるとても魅力的なインタリオリングです。ぜひ動画もご覧ください。
石はカルセドニー、やや半透明で裏から光を通す美しい石です。
詩情あふれる雰囲気があります。
粘土に押した画像。
側面。
側面。
べゼル裏。
サイズ変更可能です。