13世紀 中世 あぶみ型 サファイヤ リング
このエレガントで独特な美意識に包まれた指輪は中世の作品です。
無駄な装飾がなく傍らに置くと聖なる祈りの指輪だという事を強く感じます。。。
山のようにせり出したこの指輪は、イギリスや欧州大陸で 12世紀頃から見られるようになり、13世紀に流行したデザインであぶみ型の指輪と呼ばれています。その名前はベルトに用いられる「あぶみがね」の形に由来し、司教が好んで身につけたカボションカットのサファイヤを添えるのが一般的です。当時、男女を問わず身につけたデザインの指輪で、中世の指輪の中では比較的多く制作されました。
サファイヤは恐らく、はるばるスリランカから運ばれてきた石でしょう、スリランカからイギリスまでの長い距離を是非想像してみて下さい、この小さな石そのものにもドラマティックな物語が隠されているだと感じませんか、、、?
長旅を経た貴重なサファイヤは、聖なる祈りを届けるために、この指輪の一番高いところへ留められたのです。。。
参考資料
文献 ― Oman, British Rings, pp. 19-20, nos. 15b, c and 16b。ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュジアム (C.C. Oman, ? Catalogue of rings in the V.and A. Museum ? ロンドン、1930年)、および大英博物館(O.M. Dalton, ? Catalogue of finger rings in the British Museum ? ロンドン、1912年)。
類似の作品がイギリスで発見され、遺物発見データベースPortable Antiquities Schemeへも登録がされています。写真は実際に登録されていた指輪です。
この指輪は、Egan and Pritchard の例 (1991年, 326ページ; 参照番号1608, 1609) 、またイギリスの宝物法に従ってレポートされた多数の例 (2007年 T270, 2009年のT592 などの中世の金の鐙型指輪) に類似しています。
この指輪の形状は13世紀に流行ましたが、時代範囲は1150年頃から1500年頃まで広げることができるといえます。Egan & Prtchard (2002年, 325-327ページ, 図版215, 参照番号1608 & 1609) 参照。
このあぶみ型のリングは古のリングの中でも最も鑑定が難しいリングの一つです。曖昧ではっきりしない作品が多いので、しっかり細部を確認する事が大切です。
斜め横。
せり出したべゼルの高さは6ミリあります。
べゼル裏は、せり出したべゼルとは対照的に通常のリングと同じく丸く整えられています。
古く希少な指輪ですからサイズ変更はしてはいけません。
とても小さなサファイヤがセットされています。
とても繊細で洗練されたデザインの指輪で現代的な感覚を感じます。
サイズは20号ですが、サイズ変更はしてはいけません。