トップ　>　 SOLD古代ジュエリー SOLDカメオ SOLDインタリオ 　>　古代美術　古代エジプト新王国時代第19王朝(紀元前13世紀〜紀元前12世紀)スカラべ

今回ご紹介させて頂く作品は、古代エジプトのアメジストで出来た夢のように美しいスカラべ作品です。エジプトのスカラベは、柔らかなファイアンス(釉薬で艶を出したテラコッタ)やステアタイト製の物が99%を占めています。当時の道具ではアメジストへ彫刻は難しいので、とても希少な作品になります。また、エジプトで使われていたアメジストの一部はインド原産である事が分かっています。

スカラべ作品をご紹介させて頂く前に、古代エジプトにおいてのスカラべについてご説明いたしますね。

太陽神を強く崇めていた古代エジプト人にとって、スカラべは太陽神の化身と考えられていた神聖な生き物でした。何故スカラべが特別視されていたのか?それには古代人の素晴らしい想像力と神秘的でユニークなスカラべの生態に理由があったのです。

☆☆☆ご希望の方には、古代美術の専門家の鑑定書をお付け致します。鑑定代は別途頂きますので予めご了承下さい☆☆

スカラべの食料は馬や牛などの糞です、馬や牛が糞をすると沢山のスカラべが糞に群がります。

スカラべは小さな体に似合わず、自分よりも大きな糞を食べます。その為、糞を大きな形に切り取って丸め、後ろ足でコロコロと転がしながら地中の巣穴へ運ぶのです。

古代エジプト人には、スカラべの巣穴へと消える大きな丸い糞が、大空を移動して地平線へ沈む太陽のように写りました、また、東から西に一日かけて太陽を運ぶと言われていた太陽神ケプリの姿と、大きな糞を運ぶスカラべの姿が重なって見えたのでした。

そして、スカラべは繁殖をする時にも糞を使います、巣穴に隠した卵を糞に産みつけ、糞が沈んだ巣穴からスカラべが生まれ出る事も不死の象徴として捉えられました。さらに、新しいスカラベが生まれでる時期が古代エジプトにおいての太陽の歴と一致していたと言われています。

多くの古代エジプト人が日常生活の中で当然のように、スカラべが太陽神の化身である事を疑わずに強烈に崇めるには、誰もが疑わざるを得ないスケールの大きな理由も必要だった筈ですから、おそらく本当に当時の暦と一致していたのでしょう。

他にも理由があるようですが、このようにしてエジプト人は生命の再生、復活、創造を感じさせるスカラべを偉大な太陽神の化身と考えるようになっていったのです。


太陽神ラーの日の出の時の姿　太陽神ケプリ　顔がスカラべになっています。

神格化されたスカラべは、絶大な人気を誇り、様々なご利益のある護符として親しまれました、不死への強力なお守りとしての副葬品や、印章など日常生活へも多く取り入れられ、それらは今日の美術館などで見る事が出来ます。

スカラべをモチーフにした、大変素晴らしい装飾品 , The Egyptian Museum

スカラべのレリーフ

そして、今回ご紹介させて頂く古代エジプトのスカラべが、こちらの作品です!

実物は写真よりもず〜っと綺麗な色で素晴らしい雰囲気です!アメジストの色は透明感があり、深く明るく神秘的で、天然のアメジストの美しい内包物を確認する事もできます!

さらに、このスカラベが作られたのは古代エジプト第19王朝、なんと紀元前13世紀〜紀元前12世紀なんです!圧倒的な古さに古代エジプトの歴史の凄みを感じます。それほど古い作品であるのに、まるで未来が目の前に現れたようなデザインに唸るばかりです。このような作品を前にすると、現代は何かが強くに退化している事を感じずにはいられません。

この美しいスカラべを手にとって古代エジプト世界を想像していると、実はこのスカラべが古代エジプトの情報を沢山積み込んだ高性能の美しい小型マシンのように思えてしまいます(笑)この美しいフォルムなら、何かそういった特別な美しい機能が隠されていても不思議ではないかも、という気がしてきてなりません、でも、古代エジプトにおいてスカラベは実際に高性能だったわけですから、私のそんな妄想も間違いではないかもしれません、、(*^_^*)

数千年前の遥か彼方から時空を超えて来た希少な美しい宝物を身近に感じていると、眠っていた何かが目覚めるような感覚を覚えます、是非感性を開放して、この作品の魅力を感じて頂きたいと思います。

アメジストのスカラベはエジプト中王国時代に始まり、その彫刻の品質は新王国時代のラムセス王朝時代により写実的になりました。

According to sir Flinders-Petrie　”amethyst began to be used in 10th or 11th dynasty, but is nearly all of 12th dynasty and rarely of 19th dynasty”

サー・フリンダーズ・ピートリー(エジプト学者)は次のように述べています。「アメジストは第10〜11王朝時代に始まり、第12王朝全般で見られたが、第19王朝では稀である」

今回ご紹介している作品は、新王国時代の作品ですから、細部のクオリティも大変美しく仕上げられています。


このスカラべの底には薄い金が取り付けられています。底の彫刻を保護するために金箔を用いていることは、このスカラベが、ネックレス等ではなく金の指輪のベゼル用であったことを示しています。また、初期のアメジストのスカラベには直接碑文が刻まれていません。

今回のスカラべ作品と類似の第18王朝のスカラべ資料

スカラベ裏の金の薄いプレート　トトメス3世　新王国時代のもの



今回ご紹介しているスカラべよりも古い、中王国時代のアメジストのスカラべ作品もご紹介致します。これらは初期に近いアメジストスカラべですから希少な事に違いありませんが、後期のものに比べると写実性には劣ります。どちらが良いというわけではなく、この辺は好みの問題です。


紀元前1850年〜1750年頃　エジプト中王国　第12〜13王朝　メトロポリタン美術館

橋本コレクション　第12王朝　アメジストスカラべリング

メトロポリタンミュージアム　第12王朝　アメジストスカラべリング

発掘例　UC11353

金のプレートを装着したアメジストの彫刻。個人の名前と女性の肩書きが象形文字で彫られています。王の装飾品、Munuib。縁は溝で囲まれています。
場所:Naqada (Egypt L ? Q / Egypt)
時代:エジプト中期王朝末期

他の古代エジプトのスカラベリング。

それでは今回ご紹介する作品の素晴らしい全体像をご覧下さい。

是非、微妙なカーブを目で追ってみて下さい、素晴らしく唸るような美しさだとおもいませんか?この流れるようなフォルム、うっとりする佇まいですね、、これで紀元前13世紀〜紀元前12世紀の作品だなんて信じられません、優れたデザインとは何なのかを思い知らされます、、、中身のないデザインが100個集まっても、本物の美しさには叶わないのです。。。

紀元前13世紀という遥か遥か昔に作られたものですが、美しいフォルムから時代を先取りした洗練された感覚を感じます。

この微妙なカーブ!真横から見た時の造形も大変な美しさです!

大きなヒビのように見えるものは自然の内包物です、いきなりここから割れてしまうということもありませんから気にしなくても大丈夫です。


どの角度から見ても深みのある素晴らしい色だと思いませんか?美しい内包物も確認出来て天然石の恵みを強く感じます。

指輪のべゼルにセットされていた作品ですから、穴が開いています。


もちろん、反対側にも、、、。

底には彫刻を保護する金のシート付き。

数千年の時を経て目の前に現れてくれたスカラべに感謝をすると共に、このスカラべを大切にしてくれる方との出会いを楽しみに待っています。でも、小型の高性能マシン?ですから、ある日いきなり時空の彼方へ旅だってしまいそうな気もします。。。(*^_^*)

気になる身につけ方ですが、ゴールドを使って、リング、ペンダントに加工出来ます。石も美しく造形も素晴らしいですから、どちらにしても本当に素敵なオリジナルジュエリーになる事は間違いありません!!これはジュエリーに加工するのがとても楽しみな作品ですが、もちろん、そのまま所有されるという鑑賞方法もとっても素敵です。

こんな素敵な時を超えた作品を宝物として持っていたいですよね!うっとり癒される事、間違い無しの美しい宝物です!(*^_^*)