Th?odore Lambert作 アールデコ オニキスリング
大きな輝く宝石がついたジュエリーはとっても綺麗ですよね!でも大きな宝石がついていなくても美しいと感じさせるジュエリーの場合には、必ず洗練されたデザイン感覚と優れた技術がさりげなく隠れている事を是非知ってください。
それは本当にセンスが良くて、繊細な美しいデザインを実現させる技術がなければ作れない貴重な作品なのです。
今日ご紹介するのはシックなアールデコのオニキスリング、冬のシャンゼリゼで入手してきました。
このリングは小さなダイヤモンドがさりげなくワンポイントで留められ、細工もとても手が込んでいて、美的感覚に優れたアーティストが作った事がよく伝わってくる作品です。
何が美しいのかを説明しますから、アーティストの美的感覚を十分に楽しむ意味でも、是非、細かなこだわりに良〜く注目してみてください。それもアンティークジュエリーの醍醐味の一つです。

メインストーンのオニキスは、アールデコによく使われるシックな素材です。アールデコのシャープな時代の雰囲気に似合う石です。
べゼルにセットするオニキスを美しく見せる為に、石のカットにかなりの手間がかけられているのがポイントの一つです、写真を見て、オニキスの中央が楕円形に美しい曲線で凹むようにカットされている事に注目して下さい。
カーブの仕上がりもとても綺麗で丁寧にカットされた事が良く分かりますね。そして、石の淵は8面に細かくカットされています。輝かない石を細かくカットして意味があるの?と思わないで下さいね、このようなカットが美しさを発揮するのは、指輪を身につけて動いて光をうけた時です。黒いオニキスが様々な面で光を反射する事によってシックでシャープで美しい雰囲気が生まれるのです、ここが平面だったら光の反射が一方的で平坦になり本当につまらないリングになってしまいます。
オニキスの表面には傷はありません、オニキスだけではなく全体にとてもコンディションの良い指輪です。
そして、中央のダイヤモンド、これはオニキスの中央の凹んだ部分を飾るワンポイントになっていて、デザイン上で引き締める役割を担っています。オニキスの中央に穴をあけるのも大変だったでしょう、石が割れてしまう可能性があるからです、ですが、四角い台座にセットされたダイヤモンドはデザイン上でとても重要ですから、石を割る危険を冒しても無くす訳にはいかない大切な装飾だったのです。
オニキスを支えるのはプラチナです。プラチナのマークが作られる前の作品なのでプラチナのマークは打ち込まれていませんが、輝きと重さからプラチナでしょう。プラチナとホワイトゴールドは見比べれば良くわかりますが、ジュエリーの仕上がりが全く違います、輝くプラチナは美しいですがホワイトゴールドは一目で安っぽく見えますから、是非プラチナ製のアールデコジュエリーを選んでください。

プラチナには、びっしりと、ただひたすらにびっしりと彫金が施されています。べゼルの表裏、シャンクにも繊細で美しい彫金が輝きを添えています。丁寧で手が込んだ細工は上質な贅沢を楽しむ為にあります。カットされたオニキス同様に光を受けた時に真の美しさを発揮します。なんでもそうですが、丁寧で手が込んだ物というのは所有していても鑑賞しても嬉しいものですよね!このような全面に細工が施されたリングは、贅沢で所有する満足度もとても高いのが特徴です。中央のダイヤモンドが小さいから好きじゃないかも、、と思う前に、是非細工に注目して、輝く宝石とはまた違う種類の美しさを是非感じてくださいね。
シャンクには後ろまでは細工が施されていませんから、サイズ変更は問題なくできます。

さらに、このリングはサインドピースです、誰が作ったのかを知る事が出来るのは過去を想像する上でとても幸せでラッキーな事ですね。
作者は Th?odore Lambert 。アーティストである彼は、当時の新しい素材プラチナを使ったジュエリー制作に挑戦したのでしょう。
彼はまた著名なアールデコのジュエラー、Paul Templierの元で作品を作っていた人物です。優れた美的感覚でジュエリーのみならず家具も制作していました。
参考図書
Dictionnaire international du bijou, 1998. p. 329
The Paris Salons, Alastair Duncan 1994, p.62-64.

それでは各写真をご覧下さい。

斜め横。

べゼル裏。

シャンク裏。サイズ変更は可能です。

シックで洒落た指輪です。

着用図。