古代美術 古代ローマ1世紀 インタリオ 複合神イシス・フォルテュナ 「ヴェスビオスの灰」
古代ローマ1世紀のインタリオです、モチーフは複合神イシス・フォルテュナが選ばれていす。イシスはエジプトの女神、フォルテュナはローマの女神、何故この二人が一人の女神として表現されているのか、複合神について説明致します。
エジプトの女神イシスは、紀元1世紀にローマの宗教に取り入れられました。イシスは、信奉者により良い来世を授ける能力など、幅広いパワーを持つ古代女神でした。ローマ宗教では、イシスを他のローマ女神と融合し、新しい複合神を作り出すことがよくありました。その中の一つが複合神イシス・フォルテュナです。
このインタリオには複合神として、個人と都市の両方の運命を定めた豊穣の女神フォルテュナと融合したイシスが表現されています。このイシス・フォルテュナのインタリオには、それぞれの女神の特性が表現されています。角がある頭飾りはイシスの特性です、そしてロングドレスの前面には、イシス結びと呼ばれる胸の部分の結び目がシンプルに横線で表現されています。また、左手で持っているコルヌコピアはフォルテュナに見られる特性で豊かさと繁栄の象徴です。
このインタリオは複合神がモチーフである面白さ、それぞれの女神のアトリビュートが彫り込まれている精緻さに加えて、石の美しさにも注目しなければなりません。
この半透明の美しい石はグリーンアゲート、プラスマと呼ばれる石で、古代ローマ時代に高価な石としてインタリオに用いられました。
特にこのプラスマには色の濃い黒い斑点があちらこちらに見られるなど、石としての面白さが際だち、想像力をかきたてられます。
まるで古代ローマ時代のヴェスビオス火山の噴火で、イシス・フォルテュナの像に降り注ぐ灰のようです、、、ポンペイの街が長い眠りにつく運命の日を胸の中で思い浮かべる事が出来ました。。。

イシス女神のアトリビュートである特徴的な頭飾り、衣服の中央にある横線にデフォルメされたイシス結び、古代ローマ女神フォルテュナのアトリビュートである左手に持ったコルヌコピア、、古代の民にとっていずれも神々の眩しいアトリビュートであった筈です。
アトリビュート以外の表現、衣服のドレープや、腰掛ける椅子にも当時の生活様式が伺えます。是非、いろいろ想像してみて下さい。

インタリオは極小の彫刻芸術作品です。
是非、一円玉を手に取って、大きさを想像してみて下さい。

光を通すとイシス・フォルテュナが、神々しく神秘的に見えます。
インタリオ作品として目立つ欠けやヒビもなく良いコンディションです。
このインタリオはルースの状態なので、古代風にハイキャラットゴールドを使い、指輪やプチペンダントとして美しく稀少なジュエリーに加工ができます。